『楽園への疾走』 J・G・バラード (創元SF文庫)
![](http://www.tsogen.co.jp/img/cover_image_l/62913.jpg)
嫌な本読んじゃったな、というのが感想。
痛快になれる本もあれば、感傷に浸れる本もあるが、この本はひたすら嫌な感じになる本。
アホウドリを核実験から救うために南太平洋の無人島へ乗り込んだ女性医師バーバラ、16歳の少年ニール、そして、その取り巻きの一団が楽園で狂気に向かって疾走していったという話。
最初は環境保護運動の現実を滑稽に描いた作品かと思った。さすが、バラード、先見の明があると。
しかし、途中から物語は楽園の崩壊を描いた映画『ザ・ビーチ』のようになり、『蝿の王』のようになり……。
バーバラの過去に安楽死のエピソードを置いたのが強烈なミスリードの伏線になっていて、それしかないだろうという真相を覆い隠している。それだけに、バーバラの真意が明らかになったときは、コーヒー吹いたというか、そりゃないだろ的な衝撃が大きかった。いや、それしかないのはわかっていたのだが、そういう意図だったのかいという。
バーバラの主張は狂人の戯言で説得力がないと思うんだが、いったいいつからバーバラはそんな主張をするようになったのかというのはちょっと気になる。島に来る前から狙っていたのか、島に来た後に狂っていったのか。
そもそも、狂ってなんかいない。それは正当な主張であると解釈も出来るだろうが、当の女性はどう思うのだろうか。
男としてニールはうらやましくなんかないです。あれこそディストピア。
そんなこんなで、読み進めるにつれて、どんどんイヤーな感じになっていく小説。
どうしてもイヤーな気分になりたい人にオススメです。
イヤー!!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
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嫌な本読んじゃったな、というのが感想。
痛快になれる本もあれば、感傷に浸れる本もあるが、この本はひたすら嫌な感じになる本。
アホウドリを核実験から救うために南太平洋の無人島へ乗り込んだ女性医師バーバラ、16歳の少年ニール、そして、その取り巻きの一団が楽園で狂気に向かって疾走していったという話。
最初は環境保護運動の現実を滑稽に描いた作品かと思った。さすが、バラード、先見の明があると。
しかし、途中から物語は楽園の崩壊を描いた映画『ザ・ビーチ』のようになり、『蝿の王』のようになり……。
バーバラの過去に安楽死のエピソードを置いたのが強烈なミスリードの伏線になっていて、それしかないだろうという真相を覆い隠している。それだけに、バーバラの真意が明らかになったときは、コーヒー吹いたというか、そりゃないだろ的な衝撃が大きかった。いや、それしかないのはわかっていたのだが、そういう意図だったのかいという。
バーバラの主張は狂人の戯言で説得力がないと思うんだが、いったいいつからバーバラはそんな主張をするようになったのかというのはちょっと気になる。島に来る前から狙っていたのか、島に来た後に狂っていったのか。
そもそも、狂ってなんかいない。それは正当な主張であると解釈も出来るだろうが、当の女性はどう思うのだろうか。
男としてニールはうらやましくなんかないです。あれこそディストピア。
そんなこんなで、読み進めるにつれて、どんどんイヤーな感じになっていく小説。
どうしてもイヤーな気分になりたい人にオススメです。
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