盛りだくさんだった旅の第8・9週目。各校の生徒さん、先生方との出会いの中に、『大切な何か』を気がつかせてくれる瞬間がありました。
6月29日 埼玉大学教育学部付属中学校(埼玉県)
前日の日曜日に体育館に舞台装置を設営し、当日は午前中の開演でした。体育館に整列して芝居を観る姿は、公演が始まる前や休憩中の元気な雰囲気とはがらっと変わり、その集中力にこちらが驚かされるほどでした。埼玉大学教育学部付属中学校の三年生は、クラスで演劇発表を行っているそうです。公演後には舞台監督・音響・照明・美術・衣裳などを担当する生徒さんは体育館へ、脚本・演出・役者を担当している生徒さんは武道場へ集まり、バックステージワークショップと座談会が行われました。クラスごとに分かれた座談会は、大いに盛り上がりました。熱意を込めてどんな演劇に取り組んでいるかを伝えてくれたり、実際に一部分を演じてみたり、質問が飛びかったりと熱気が溢れていました。話を聞いていると、それぞれの内にクラスへの思いや、演劇へのアイディアがありました。まだまだいろんな局面と出会うことと思いますが、ひとりひとりの思い出となる演劇発表になるよう、私たちも応援しています。
体育館では・・・照明の仕組みを真剣に聞いています
ポンプの水はどのように出てくるのでしょう?
6月30日 仙台第三高校(宮城県)
細やかな視線と鋭い感覚で芝居をともにつくりあげてくれた仙台第三高校のみなさん。カーテンコールでお礼の言葉を述べてくれた図書委員長さんが「芸術鑑賞の前に、ヘレン・ケラーの本を読んだのですが・・・、正直、読まなくても良かったかなぁって。実際に舞台を観たら、動き・姿・表情・声からわかるものがありました。心を揺り動かされました。」と、まっすぐな言葉を贈ってくれました。いつまでも拍手が鳴り止まないカーテンコール。素敵な出会いをありがとうございました。
7月1日 逗子開成高校(神奈川県)
逗子開成高校は映画鑑賞会を行っているそうですが、今回初めての試みで演劇鑑賞会が行われました。会場に集まったのは一年生のみなさん。ホール中に響くエネルギッシュな声にこちらの気持ちも高まります。幕が開けば真剣に舞台を見つめる姿が印象的でした。公演後、先生の呼びかけで演劇部、そして多くの有志のみなさんが舞台見学を行いました。興味津々であちこちを見て回る姿にこちらも嬉しくなります。
ヘレンと医者が現れた・・・!
座談会では次から次と質問や言いたいことが飛び出してきて、話が尽きることはありませんでした。劇団の人(おとな)と自分たちを照らし合わせて、今の自分を探るような話が合ったり、率直な感想が聞けたり。みんなと過ごした時間はあっという間でした。また再開できることを楽しみにしています。
7月2日 喜多方高校(福島県)
記念写真のポーズは・・・お気に入りの指文字で♪
喜多方高校の芸術鑑賞会は三年に一度きりだそうです。開演前、教頭先生が、ヘレン・ケラーの言葉を生徒さんに紹介してくれました。また、この一度きりの今日をリラックスして、楽しんでほしいということ、この演劇には教師としての原点が在ると思う、自分は大いに興味があると話してくれました。静かな客席のなかにも、そこに居るという存在感が大きかった客席。演劇、人を通じてみなさんの中に何か小さな動きが起こってくれていたらと思います。舞台見学では積極的に歩き回り、会話が生まれていました!
7月3日 武蔵野市教育委員会主催 武蔵野市内中学校一年生(東京都)
武蔵野市教育委員会が主崔となり、市内の第一中学校から第六中学校、特別支援チャレンジルームが集まって開催された公演です。音楽が鳴りホール内が暗くなると、どんなことが起こるのだろうという彼らの眼差しが舞台に注がれました。その場で起こる出来事に、瞬時に反応するみなさん。市内の学校がひとつになるような笑い声もホールに響きました。
終演後にはお見送りをしました。元気いっぱいに挨拶してくれる生徒さん、近寄って握手を求め言葉を掛けてくれる生徒さん、はにかみながら手を振ってくれる生徒さん。みんなどうもありがとう。
7月4日 田園調布学園中等部 中等部1・2年生(東京都)
田園調布学園では、2011年と2013年に『肝っ玉おっ母とその子供たち』を上演しています。今年もまたみなさんに会えることを楽しみに本番を迎えました。本当に細かなところまで見落とすことのなく、最初から最後まで芝居を受け取り、その反応を舞台に返してくれるみなさん。目・耳・口・身体を全部使って楽しんでくれている様子が伝わって来ました。舞台と客席で"この場"をつくっているんだという躍動感が広がった空間を感じました。
カーテンコールで挨拶をしてくれた生徒さんがアニーのように諦めることなく頑張る人になりたいと言葉を贈ってくれました。また、必ず会えますように。
7月7日 茗渓学園中学校・高校(茨城県)
茗渓学園は午前中に中学校、午後に高校の公演がありました。どちらの公演でもみなさんの熱気と元気が溢れていました。
みなさんが舞台を観ながら疑問が生まれたり、共感が生まれたりする瞬間を感じました。公演後の舞台見学や座談会に参加してくれたのは高校の演劇部のみなさん。部員全員が女子で、これから行われる大会に向けて今懸命に取り組んでいると話してくれました。明るく活発で、積極的。悩むことがありながらも自分たちがやりたいことがはっきりと姿勢に表れていました。みなさんの日々の中に小さな驚きや発見がありますように。大会、頑張ってくださいね!
舞台装置を見る目は真剣そのもの
ビニー役の仲村三千代と
KAZEトラックの前で決めポーズ
7月8日 越谷東高校(埼玉県)
風は越谷東高校での公演は初めてでした。公演は図書委員会のみなさんが中心となって進行してくれました。喜多方高校の教頭先生も紹介してくれたヘレン・ケラーの言葉を、越谷東高校の校長先生も生徒さんたちに贈っていました。それは"もしもこの世が喜びだけならば、人は決して勇気と忍耐を学ばないでしょう"という言葉です。みなさんは校長先生からのメッセージをどのように受けとめたのでしょうか。客席の一番後ろに座っている生徒さんまでじっくり芝居を観ていた越谷東高校のみなさん。今日の出会いをいつの日思い出してくれたら嬉しいです。
終演後、生徒さん、先生方、校長先生が楽屋を訪ねてくれました!
7月10日 盛岡第二高校(岩手県)
盛岡第二高校はこの日、午前中にヘレン・ケラーを鑑賞し、午後には合唱コンクールを行っていました。じんわりと芝居のなかに入っていく生徒さんたちの姿が舞台上から感じられました。公演後の片付けは演劇部のみなさんがお手伝いをしてくれました。あっという間に舞台装置が崩れていきます。舞台袖には合唱コンクールの準備をしている生徒さんの姿も。「あっ、ヘレンだ!アニーだ!」や「ありがとうございました!」と声を掛けてくれました。
お手伝いの様子3連続ショット、運んでいるものが微妙に異なるのがわかりますか?
最後は記念写真で締めくくり、合唱コンクールも頑張って!
4月から始まった『ヘレン・ケラーからひびき合うものたち』の旅も来週で最終週を迎えます。今までの出会い、思いを自分たちの原動力として、旅班はまだまだ走り続けます。
渋谷愛:アニー・サリバン役