10月22日(月)〈鹿児島県〉枕崎高校 同校体育館
23日(火)〈鹿児島県〉国分高校 霧島市民会館
24日(水)〈熊本県〉熊本中央高校 熊本市民会館
26日(金)〈福岡県〉敬愛中学校・高校 同校講堂
枕崎高校
校舎の坂道をトラックが入るか、前日より学校に伺いました。用意した板をタイヤの下に敷き、何度も繰り返したのですが、なかなか登れず・・・
と、学校で使わなくなった枕木を先生が持ってきてくれて、再度TRY! やっと体育館までトラックをつけることができました!!
気持ちも新たに、今週最初の公演に向かいました。
こちらの学校では風は13年ぶり4回目の上演です。一番最初に公演したのが今回と同じ『Touch〜孤独から愛へ』、メンバーも替わり25年を経ての同作品の上演です。
その頃は『孤児たち』という原題で上演していました。
照明の変化とともに歓声が上がり、公演が始まりました。何が起こるのか一生懸命に舞台に視線を注ぐ姿が印象的で、時々笑いもあり、最後まで集中して観てくれました。
公演後、カーテンコールで代表の生徒さんから「ひさしぶりに私たちの学校に来ていただいてありがとうございます。今日は舞台を通して貴重な体験をさせてもらいました」と挨拶をいただきました。
公演後には、何人かの生徒さんと先生方が舞台に興味を持って近寄ってきてくれました。
装置の二階家が何でできているのか、フィリップ役のバックに入っている小道具や地図を眺めたり・・・・。
舞台撤去には、全校生徒170人の半数以上の生徒さん、野球部、文化部のみなさんが元気に積極的に手伝ってくれました。
みなさんにとって、『Touch〜孤独から愛へ』で過ごした僅かな時間が、ひとりひとりの思い出となり、時には引き出してもらえたらと思います!
みなさん本当にありがとうございました!!
国分高校
この学校では、伝統的にこれから受験、進路に向かう「3年生を励ます会」を行っています。パズルには下級生全員が書いた「キバレ!」「頑張れ!」「Fight!」など3年生への熱い応援メッセージが込められています。「先輩の後ろ姿を見て励まされてきました」という言葉とともに、プロジェクターに映した3年生の姿、全員起立して拍手とエールを送るなど、僅かな時間の中で工夫され愛情のこもった演出で行われ、盛り上がっていました。
その後、観劇の前に校長先生(風の舞台を2回担当されたことがあるそうです)から「君たちの見る姿が、出演者の方たちの緊張感にも繋がります。客席と舞台が一体となって、楽しい半日を過ごしてください」とご挨拶をいただき、いよいよ開演です。
すっかりリラックスした生徒さんたちは、楽しんで時には会場が笑い声に包まれながら、真剣に見入っていました。公演後、生徒会長さんが「今日の演劇で人とのコミュニケーション、一人ひとりの生き方、人間関係を考えさせられました」と述べてくれました。
生徒のみなさんのまなざし、様々な反応や声に舞台も支えられともに創ることができたのではないかと思います。この作品から一人ひとりの中に何が生まれるのか、まだまだ未知なることとの出会いがあることを期待したいと思います。
公演後には、舞台見学と演劇部のみなさんとの座談会が行われました。
熊本中央高校
風の公演が、8回目となるこの学校では、2年前に『ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎』を上演し、3年生が見ています。
公演前に担当の先生から「みなさん“touch”という意味は知っていますか?(生徒たち「触る!」)今私たちは携帯電話やSNS等でコミュニケーションをとっています。今回の作品は、人の手が触れることによって、あたたかさやぬくもり、そして変化していくというテーマがあります。しっかり見て感じてください」と話しがありました。
触れられることで心の中に温かい気持ちが広がっていく弟フィリップと、そのことを拒み、自身の悲しみ、痛みを内に持ち続けている兄トリート、二人を優しく、厳しく愛情をもって向き合う紳士ハロルド。3人の過去、未来、そして“いま”をじっと見つめる生徒さんたち。ラストシーンは息を呑むように静まり、そのなかで一人ひとりの視線が伝わってきました。代表の生徒さんから「演劇は好きなので楽しみにしていました。今日の舞台を観て、芸術は私たちを成長させてくれるものだと思いました」とありました。
今日の芸術鑑賞で人との関係を考えたり、身近にいる人の存在を発見したりみなさんのなかの大切なものに触れる場であってほしいと願っています。
公演後には先生の呼びかけで、舞台見学が行われたくさんの生徒さんが参加しました。役者と交流したり、なかにはトリートがフィリップのために買ってきた特大マヨネーズ瓶を見たいという生徒さんたちもいました。その時に説明できなかったのですが、実はあのマヨネーズ瓶は、ハロルド役の柳瀬が初演時フィリップ役を演じていた頃、トリートのために3日かけて作った大事な小道具だそうです。
演劇部の皆さんとの座談会
敬愛中学校・高校
2階にある学校の講堂での公演で、前日に道具の搬入があり、10人以上の有志のみなさん、先生方も手伝ってくれました。4回目となる風の公演。3年前には『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』を上演しています。お手伝いをしてくれた生徒さんたちも覚えてくれていて、その時を思い出しながら楽しそうに話していました。
仏教の学校で、講堂では毎朝お晨朝(朝のお勤め)が行われています。
みなさんがいつも使っている場所を活かして、舞台が設置されました。700人の生徒さんがぎっしりとなった客席。舞台、そして人を見つめるまなざしがあたたかく、2時間という時間が刻々に交差して、役者も客席もお互いがともに創り出していること、ここにいることが喜びとなっているようでした。
「トリートとフィリップが最後抱き合うシーンでは感動しました。人のあたたかさ、愛情の深さを感じることができました」代表の生徒さんからの挨拶です。
公演後、昨日同様に有志のみなさんが道具の搬出を手伝ってくれました。役者、スタッフとも交流しながら、みなさん快く、積極的に最後まで手伝ってくれてありがとうございます!
解体された舞台を前に驚く生徒さんたち。
生徒会のみなさんと座談会も行われました。観た感想、作品について、なぜ演劇を始めたのか等々、様々に質問があったそうです。
最後まで手伝ってくれた生徒さんに座長の柳瀬から昨日、そして今日一日のお礼
生徒のみなさん、先生方本当にありがとうございました。私たちもみなさんの心の深さに触れ、楽しい時間を過ごすことができました。
まだまだ序盤の『Touch〜孤独から愛へ』。来週から公演も続きます。刻々につくられていく舞台が生徒さんたちの心に触れ、喜びや発見となる場をつくってゆきたいと思います。
文:工藤順子(舞台スタッフ)