2019年春『ジャンヌ・ダルク—ジャンヌと炎』東日本ツアー第五週目
6月10日(月)神奈川県 逗子開成高校
11日(火)栃木県 宇都宮女子高校
12日(水)茨城県 水戸啓明高校
13日(木)長野県 中野立志館高校/中野西高校
14日(金)埼玉県 開智未来中学校・高校
逗子開成高校
逗子開成高校では高校1年生が観劇しています。
風では『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を2回、そして今回の『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』も2回目の上演となります。今回はどのような上演になるのか、私たちも楽しみにしていました。ご担当の宮崎先生は、私たちの拠点小劇場レパートリーシアターKAZEでもこの作品をご覧なっていて、公演前後に作家マテイ・ヴィスニユックについてなどの話をされ、生徒たちに何かひとつでも持ち帰って欲しいという思いが伝わってきました。
公演が始まり、客席後ろから登場する役者たちに戸惑い、話しかける役者に恥じらう生徒さんたち。2時間、静かにじっと舞台を見つめるまなざしが印象的でした。
カーテンコールで演劇部の生徒さんが「裁判の時にジャンヌの向かっていく姿、闘う姿、演技に感動しました」と感想を述べてくれました。
公演後には希望する生徒さんたちと舞台見学が行われ、舞台を観ている時の緊張からほぐれ、役者と真剣に話をする生徒さんもいました。
公演後宮崎先生が、「控えめな生徒たちです。無言で、伝令の役のしぐさを何回も真似ている生徒もいました(笑)」と話してくれました。
宇都宮女子高校
この学校では2007年『Touch~孤独から愛へ』の上演以来、12年ぶりの公演とります。
50人以上の保護者の方々も観劇されました。
元気溢れる女子高生のみなさん。笑いがあったり、グっと芝居に集中する強いまなざしに引かれるように舞台がつくられていきました。「ひとつのことを貫き通すジャンヌの生き方に感銘しました」と演劇部の部長さんが挨拶してくれました。
公演後には演劇部のみなさんの舞台見学がありました。
座談会も行われ、芝居の話や今回の『ジャンヌ・ダルク』のスケジュールや俳優という職業について、俳優がトラックを運転していることなど様々に質問があったようです。開演前からのアナウンス、進行を務めた演劇部のみなさんお疲れ様でした。
また、昨年他校でこの作品を観劇され、今回の上演を決めてくれた担当の菊川先生が、舞台の片付けが終わるまで最後まで残っていて下さり、スタッフ、役者に「この作品に決めて良かったです。子どもたちに丁寧に話してくれてありがとうございました」と一人ひとりと握手を交わしました。皆さんと過ごした僅かな時間の中で、『ジャンヌ・ダルク』の舞台が一人ひとりのなかにひとつの光となって残ってくれたらと願っています。
水戸啓明高校
今週は初めて上演する学校、久しぶりに上演する学校もあり、こちらの学校も水戸短期大学附属高校の時、2003年に『星の王子さま』を上演しています。また、今回の公演には姉妹校の水戸葵陵高校演劇部の生徒さんも観劇しました。保護者の方々も観劇し、1500人規模のホールはほぼ満席となりました。
公演前に生徒会長さんから「『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』を通して、“平和”ということを考えてみたい」と挨拶がありました。戦争の歴史のなかで生きている私たちにとって、“平和”とは何か? その歴史の中で生きたジャンヌ・ダルク。彼らが舞台をどのように観てくれるのか、気持ちも引き締まるなか公演が始まりました。様々な疑問を持ちながらも懸命に舞台を観ている生徒さんたち。公演後に生徒会副会長さんが堂々とした態度で「いまは日本も豊かになったと言われていますが、一人ひとりの価値観も様々な中で、ひとつの信念を貫いて生きることを考えさせられました」とお礼の言葉を述べてくれました。皆さんが舞台から受け取り発見したことを、これからの学校生活、そして大人になっても忘れずにいてほしいと思います。
公演後には水戸啓明高校の希望者と水戸葵陵高校の演劇部の皆さんによる舞台見学と座談会がありました。
その日のうちに旅班は長野に移動し、翌日に行われる北信地区の合同芸術鑑賞会のため舞台設営を行いました。幹事校・中野西高校の高橋先生が遅い時間にもかかわらず待っていてくれました。午前中は中野立志館高校、午後には中野西高校の皆さんが鑑賞します。風の公演は初めてとなります。
中野立志館高校
中野立志館高校は中野市民会館の目の前にあります。
公演前のリハーサル。念入りに音響のチェックを行います。
北信地区で初めてということもあり、いつも以上に気合いも入ります。
場面ごと刻々に舞台に視線を注ぐ生徒さんたち。何だろうというような疑問や違和感を持ちながら、何かを見つけようとするまなざしが感じられました。代表の生徒さんが「演技から“喜怒哀楽”ということを学びました」と感想を話してくれました。舞台を通して、短い言葉の中に生徒さんの中に様々な感情が生まれたのではないかと感じられる言葉でした。ありがとうございます。
公演後、ご担当の先生が楽屋を訪ねに来られ「それぞれが楽しんで観てくれたようです」と嬉しそうに話してくれました。
中野西高校
午後も客席と何をつくっていけるのか、生徒さん一人ひとりの中に何が生まれてくるのか、その場で起こることを見逃さないよう舞台に向かいました。
元気な反応もあり、次はどんなことが起こるのかと集中しながら観ている一人ひとりの姿がありました。
公演後には演劇部の皆さんとの舞台見学、座談会も行われました。舞台見学では舞台の仕組みやパネルの素材など積極的に質問もあり、役者と会話をしながら交流する生徒さんの姿がありました。
先生方も多く参加してくれました。舞台装置に関心を持ち、役者の説明にひときわ興味も膨らんだようでした。
北信地区合同術鑑賞会は来週も続きます。皆さんのまなざし、共につくった時間を胸に刻み、新たにまた舞台に向かいたいと思います。
開智未来中学校・高校
こちらの学校は2011年に創立した新設校です。中学・高校6学年が揃うのを待って、今回、念願の芸術鑑賞を行うことになりました。どの時期に実施できるかずっと検討され、記念すべき第一回目となる芸術鑑賞行事に『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』を上演できるのは、私たちにとっても光栄なことです。鑑賞するのは中学1年から高校1年の生徒さんたちです。
校長先生からの喜びのご挨拶とともに開演しました。登場から興味津々に、舞台を観ている生徒さんたち。とても楽しそうで、集中したり考えたり様々な反応がありました。舞台を見る喜びが沸いてくるのが感じられる公演でした。
代表の生徒さんが緊張しながらも「感情を表現することを学びました」と感想を言ってくれました。
公演後には希望者による舞台見学が行われ、かなり多くの生徒さんが残り、大道具、人形、衣裳、小道具などに触れ、先生方に写真を撮ってもらったり、役者と話したりと尽きない様子でした。
皆さんの柔軟な感性に触れ、舞台をともにつくることができました。本当にありがとうございました。
今週は初めての学校も多く、その中でまた新たな出会いも生まれ、一回一回の公演の大切さを身にしみる一週間でした。来週から旅も後半に入ります。この公演の重みを課し、生徒たち一人ひとりと向き合い公演をつくってゆきたいと思います。
召使い・イザボー王妃:工藤順子