一度東京に帰り、約二週間ぶりに九州に戻ってきた『Touch』班は、長崎県での公演からスタートです。
今週は
11月24日(火) [長崎県]長崎玉成高校 ますみ記念館
25日(水) [長崎県]小浜高校 同校体育館
での公演でした。
長崎玉成高校
長崎市を一望できる高台にある長崎玉成高校。
創立100周年を記念して建てられた「ますみ記念館」という立派な校内ホールでの公演でした。
2014年のヘレン・ケラーの公演以来三回目の風の上演です。
公演前日、ホールの近くまでトラックが入って行けないため、敷地内の駐車スペースから学校にお借りした軽トラックを使っての搬入作業の後、舞台設営を行いました。
休日にも関わらず、担当の先生と教頭先生が最後まで付き添ってくださいました。ありがとうございました。
「コロナ禍という状況ではあるけれど、三年に一回しかない貴重な芸術鑑賞の機会。今回を逃すとなにも見ずに卒業してしまう生徒が出てきてしまうので、何とか見せてあげたいと思ったんです。」と、作業を見ながら教頭先生がおっしゃっていました。そういった先生方の想いを受けとめ、本番を迎えます。
公演当日は密を避けるために、午前と午後の二回に分けて公演をしました。
午前の部では、医療福祉科と衛生看護科の生徒約200人が観劇をしました。
時折笑いが起こりながら、しっかりと舞台を見つめる視線が印象的でした。
午後の部は、普通科(共育コース)と調理科の生徒約200人の観劇でした。
開演前は賑やかだった客席は、開演すると一変、真剣な眼差しで舞台を見てくれていました。
午後の部のカーテンコールでは、代表の生徒さんからのお礼の言葉と花束贈呈がありました。
「公演の余韻が残っていてうまく話せませんが、とても素晴らしい公演をありがとうございました。」と、ことばを詰まらせながらも一生懸命に想いを伝えてくれました。
終演後は、演劇同好会の生徒の皆さんが舞台裏見学を行った後、舞台撤去のお手伝いをしてくれました。
舞台のセットや小道具を興味津々に見たり触ったりしながら、劇団員との交流を楽しんでくれていました。
演劇同好会は、去年発足したばかりだそうです。今回の公演が、彼女たちの今後の活動の力になってくれたらと思います。
小浜高校
2017年のジャンヌ・ダルクの公演以来、今回で五回目の風の上演です。
担当の先生は、風を何度も呼んでくださっている先生で、「風さんは、公演ももちろんだけど、お手伝いも生徒たちが本当に楽しそうなんですよね。だから今回もお願いします。」と、事前の打ち合わせでおっしゃってくれました。
そして朝、学校に向かうと、駅伝部、野球部、そして生徒会の生徒の皆さんが元気に迎えてくれ、始業のぎりぎりまで搬入のお手伝いをしてくれました。
本番は、全校約160人の生徒の皆さんが、楽しみながらも力強い眼差しで舞台を支えてくれました。
カーテンコールでは生徒会長さんが、「演劇を見るのは初めてでしたが、とても迫力があって楽しかったし、感動しました。」と、感想を話してくれました。
終演後には、「舞台に上がってみたい」と急遽舞台裏見学が行われました。
舞台撤去には、バドミントン部、バレーボール部、有志の皆さん、そして朝に続いて生徒会の生徒の皆さんがお手伝いをしてくれました。そのおかげで、劇場になった体育館はあっという間に元の体育館に戻りました。
最後は手伝ってくれた生徒の皆さんと記念撮影。
風のバス、トラックが見えなくなるまで手を振って見送ってくれました。ありがとうございました。
コロナ禍のために、修学旅行や文化祭などの学校行事が中止になったり縮小しての開催になったりと、思うように行えない状況のなかで、芸術鑑賞会を実施するということは、大変な決断だと思います。「こういう状況だからこそ、演劇を見せてあげたい、触れさせたい。」という先生方の生徒さんたちへの想いを、一回一回の公演のなかで感じます。 その想いを受け取るように、生徒のみなさんの舞台に注ぐ視線も力強く感じます。
『Touch』を通して、芸術鑑賞という行事を通して、客席にいる彼ら彼女らが何を発見するのか、何と向き合うのか。ひとつひとつの公演を噛みしめながら旅を続けていきます。
文:フィリップ役 佐藤勇太