風のBLOG

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2024春『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』 東日本・西日本ツアー 第2週目

2024-06-07 18:49:37 | 全国巡回公演

青空に映える緑が美し5月。ずいぶんと時間が経ってしまいましたが、

5月24日(金) [栃木県] 栃木県立栃木翔南高等学校

5月26日(日) [埼玉県宮代町] 社会福祉法人じりつ

の公演の様子をお伝えします。

 

栃木翔南高等学校

栃木翔南高校はこれまでに、「ヘレン・ケラー」と「ジャンヌ・ダルク」を上演しています。とちぎ岩下の新生姜ホールに500名を超える生徒さん、先生方、保護者の方が集まってきて、会場内が一気に賑やかになります。開演前には教頭先生が、ヘレン・ケラーとアニーサリバンの生き様、彼女たちの人生が映画や本で描かれてきたことを紹介し、さらに「感性がみなさんが学んでいることや知性の源になっている。みなさんは今日、それぞれの感性で見てください」とお話ししてくださいました。そしてどの生徒さんも真剣な眼差しを舞台に向けながら、一緒に舞台をつくってくれました。カーテンコールでは生徒会長さんが「障害のある人もない人も夢にむかっていける世界になったらいい」と熱いメッセージを贈ってくれました。その場で見て、聞いて、感じた事をじっくりと自分の言葉で語ろうとしてくれる姿がとても美しかったです。先生の呼びかけで、終演後は舞台見学を行いました。俳優を見つけては感想を伝えてくれる生徒さんのはじけるような笑顔が素敵でした。座談会にも多くの生徒さんが参加して、ヘレン役の倉八に次々に質問を投げかけてくれました。とても嬉しかったのは、「普段はこのような場に居ることがほとんどない生徒さんが見学や座談会に参加していました」、「後ろに座っていた1年生が前の座席の子にくっついちゃうんじゃないかっていうくらいどんどんと身を乗り出して舞台を見ていました」と先生方が嬉しそうに伝えてくれたことです。今日、みなさんが感じてくれたことが、みなさんの学校の思い出のひとつとなったり、小さな力になってくれたら私たちも幸せです。栃木翔南高校のみなさん、ありがとうございました。また、会いましょう!

 

開演前の様子

 

ロビーの様子

 

カーテンコールではきれいな花束もいただきました

ポンプからはいつまでも水がでます!

二階屋でポーズ!

楽しそうな食卓です

パーシィ役の稲葉が小道具の仕掛けを説明します

触れて、感じてみる

みなさんから指文字をしてくれました!自分の名前も指文字でやってみる!

ヘレン役の倉八と座談会

 

権藤説子presents みんなで楽しむバリアフリー演劇in宮代町   主催:社会福祉法人じりつ

埼玉県宮代町で行った「権藤説子presents みんなで楽しむバリアフリー演劇in宮代町」。

昨年は「TOUCH~孤独から愛へ」を上演し、今年で2回目の公演になります。会場は町のみんなが集えるコミュニティーセンター進修館です。本番の前日に会場へ到着。社会福祉法人じりつのみなさんにご挨拶をして昼食を一緒に食べました。昼食はじりつの障害福祉サービス事業所MINT(ミント)さんで作っている美味しいお弁当!事業所で働くみなさん様子やお弁当づくりのこだわりを聞きながら、お腹も元気もいっぱいになりました。

そしていよいよ舞台設営が始まります。前回の「TOUCH」の公演でもお手伝いに来てくれた障害福祉サービス事業所アバンティのみなさんが、今回もお手伝いに来てくださいました。「お久しぶりです!」「あ。髪を切りましたね!」「TOUCHのこと覚えています」「TOUCHの時とは道具が違いますね」「今回が初めての参加です」と声をかけてくれるアバンティのみなさん。トラックから次々出てくる大きくて重たい舞台装置を気持ちを合わせて一緒に運びこんでいきます。

荷物を運び込み終えると「お茶会」が開かれました。じりつのみなさんが準備してくれたお茶とチョコレートでみんなで円陣になって一息。岩上理事長さんの司会で、アバンティのみなさんがご自身の人生や障害についてお話しをしてくれました。そのなかで「長い入院生活だったけれど、今は周りにいてくれるアバンティの仲間がいるから頑張れる」と語ってくれた方もいました。みなさんとの関係がまた少し深まったところで、作業を再会。舞台の土台が組み上がり、アバンティのみなさんと記念撮影をしてまた明日。本番当日はアバンティのみなさんも受付や会場案内の仕事を担ってくれるとのことです。

 

5月26日(日)いよいよ本番当日。今回も嬉しいことに満員御礼です!

会場には小さな子どもたち、障害のある方、去年も参加してくれた方、宮代町外から足を運んでくれた方。たくさんの人の期待と楽しみが交ざり合っていきます。舞台見学の最中に前回「TOUCH」を見てくれた全盲の方が、ヘレンのお兄ちゃんを演じる蒲原に会いました。すると「あなたトリート(役名)でしょう。この間、触らせてもらった衣装の革の感触がまだ手に残ってます」と伝えてくれました。

宮代町の町長さんと教育町さんからご挨拶をいただき、温かな雰囲気で開演。自由でゆったりとした、優しくてやわらかい客席に支えられ舞台の上では物語が進んでいきます。途中休憩を挟んでの2時間。その間に空間がじんわりとひとつになっていく感じを体感しました。物語のクライマックスにはちいさな出演者が客席から登場。最後の最後まで温かい笑い声につつまれて幕を閉じました。

カーテンコールではアバンティ、MINT、じりつのみなさんも登場。そして「入りたい人は誰でもどうぞ~」の岩上さんの掛け声で記念撮影大会。終演後は俳優に感想を伝えてくれたり、抱きしめてくれる方、涙を流す方、舞台上を駆け回る子どもたち、とあちらこちらで興奮冷めやらぬ時間が続きました。とても心地よい空間で「いつまでもここに居たい」と思いました。そう感じたのは、じりつのみなさんのおかげです。

片付けにもたくさんの方が参加してくださいました。なんとその中には、お客さんとして見に来てくれていた方も!特に嬉しかったのは、アバンティのひとりの利用者さんが最後の最後まで一緒に作業をしてくれたことでした。その方はたくさんの人と一緒にいるのがあまり得意ではなく、受付のお仕事をしたら劇を見ないで帰る予定だったのですが、ちょっとしたおもしろアクシデント(これを伝えたいのですが長くなるためこの一言で)と、支援者さんの声かけで会場内で最後まで芝居を見てくれました。そして「ぼくがすることで誰かが笑顔になってくれるのが嬉しい。自分も役に立っていると感じる事が嬉しいから」と自ら片付けを手伝うことを志願してくれたそうです。あとから聞くと、舞台設営の時から小さなドラマがあちらこちらで生まれていました。舞台空間と時間を共有できることも幸せですが、このような小さなドラマがあって、そこを見つめてくれている方がいること、その出来事を歓びをもって伝えてくれることも幸せです。

じりつのみなさん、アバンティ、MINT、宮代町のみなさん、会場に足を運んでくれた方、今回満席で来ることができなかった方々、ほんとうにありがとうございました。また必ず会いましょう。そして一緒に楽しみ、ふれ合い、笑いあいましょう。この出会いをつくってくださった権藤説子さんに心から感謝です。

おわりに…。

社会福祉法人じりつの公演をプロデュースした佐藤勇太は「TOUCH」のツアー真っ最中。公演先から駆けつけてくれました。そして上演前にバリアフリー演劇について、プロジェクターを使った「紙芝居」を上演!本番を見守ったあとは滋賀県の信楽へ戻り、「TOUCH」の公演で西日本の児童生徒さんたちとの舞台をつくり続けています。

ヘレンのツアーもTOUCHのツアーも、出会ったみなさんと共鳴し、誰にとっても宝ものとなるような時間を過ごせることを願って。

 

アニー・サリバン役 渋谷愛