これから迎える冬に備えて、山小屋の薪ストーブを点検した。
小枝を使って火を付けると勢いよく炎が広がった。古いPlymouth(Dutch West社製)の薪ストーブだけど、まだまだ使用に耐えうる。今年の冬もほんわかとした暖を与えてくれそうだ。
寒がりのハナは薪ストーブの前でぬくぬく。早々とベストポジションを確認した様子だ。
蒜山には3軒のスーパーマーケットと1軒のホームセンターがある。そして軒先には割木の束が山積みされて売られている。いかにも高原らしい光景だ。この割木は決して炊事用のカマドで使われる燃料ではなくて、間違いなく薪ストーブに使われる割木だと思われる。
冬の訪れがすごく待ち遠しい。
僕が生まれ育った田舎では、冬の間、ずっと雪に囲まれて暮らした。冬は長靴だけを履いて暮らしていたように思う。
だから温暖な土地には強い憧れがあった。瀬戸内海の青い海と空に憧れて岡山にやって来た。屋根の雪下ろしをしなくてもいい解放感とともに。
冬も燦々と降り注ぐ太陽の温もりを感じ、長靴を履かずに過ごせる岡山の県南の暮らしは期待以上だった。
なのに、この歳になって再び雪に囲まれる暮らしに憧れを持つようになったのは自己矛盾だ。僕が蒜山の土地に憧れたのは間違いなく雪の世界への原点回帰だったのかもしれない。
点検中の薪ストーブの炎を見つめながら、深い雪に包まれた山小屋での暮らしへの期待が大きく膨らんだ。