誰も気にしちゃいないけど、何処からともなく現れる!
久方ぶりの大梵林映画祭は今年(2009年)の8月に現地で公開されたばかりのピカピカの最新作を紹介するぞ。その名は『Quick Gun Murugun』だ!
1982年、カウボーイ姿の拳銃の名手である“早撃ち”ムルガンは悪人を追跡中、ギャングのボスであるライス・プレートの罠にかかってしまいその命を落とすことになる。黄泉の国に運ばれたムルガンは、神様に自分を現世に甦らせてほしいと懇願しその願いは受理されるが、ちょっとしたミスで25年後の2007年に飛ばされてしまう。あのギャングのボスであったライス・プレートは食品会社の社長となっており、食によるインド制圧を狙っていた。憎きムルガンがこの世に蘇った事を知った彼はムルガンを再び亡き者にせんと凄腕の殺し屋たちを彼の元へ向かわせる。果たしてムルガンはこの危機を乗り越えて再びライス・プレートと対峙することが出来るのであろうか…?
『オースティン・パワーズ』を発端とするレトロテイストを持つコメディ・ヒーロー活劇はこのブログでも何本か紹介してきたが、同じ発想の元に製作された作品がインドにも存在したんだね。元々は1994年に作られたインドの音楽専門チャンネル内の番組キャラクターなのだそうだが、非常に人気が高いため今回映画化の運びとなったという。
ド派手な衣装と白塗りメイクに口ひげ、かつてタミル映画界のヒーローであったM.G.ラーマチャンドラン を思わせるような容姿で、しかも大げさな台詞とくれば現代っ子の目からすれば笑いのひとつでも起きようというもの。でもその大げささが何だかクセになるという、そんなキャラクターである。
言葉によるギャグな相変わらずスルーして、本稿ではひたすらアクションシーンに注目する(笑)。
まずガンファイトだが、『マトリックス』以降定番のバレット・タイム(弾丸がゆっくりと軌道を描いて飛んでいくアレ)を用いて、障害物に当て弾丸の角度を変えて敵に命中させるという場面があり、初っ端から「おおっ!」と思わせる。最近はこの手の表現を見ないから逆に新鮮に感じる。そういえば障害物で弾丸の軌道を変える手法ってタイの『怪盗ブラックタイガー』でもやってたなぁ。
そして森の中、ムルガンに次々と襲い掛かるライス・プレートの手下たちとのアクションではワイヤーを使用してまるで香港武侠映画のような効果をあげており、空中を自在に駆ける手下たちにまたもやビックリ!コメディ映画とはいえこれは侮れない。
他にも渋滞中の道路で行う1対1のガンファイトや、混雑する駅での殺し屋たちやギャラリーを交えた中での銃撃戦など、CGを駆使してかっこいいはずの場面を誇張しすぎて逆に笑いに転化させる手法はさすが!元々ヒーローが大げさなのはタミル映画ではごく当たり前なことなので(ほら、ラジニカーントでもそうでしょ?)、これらの場面を見て大笑いできるということはインド映画のファンである証拠だ。
古臭い題材なのになぜか新しい、そしてコアなインド映画ファンからインド映画初体験の観客層でも十分に楽しんでもらえる この『Quick Gun Murugun』。なんとインド映画にもかかわらず上映時間が約90分前後なので、いままで食わず嫌いをしていた方たちにもすんなり入っていけるのではないか?と思っています。
最後に主人公の決め台詞で閉めたいと思います。さぁ、皆さんご一緒に!
「Mind It(気をつけろ)!」
例の作品、今日早速コピーしておきましたよぉ~(笑)
それにしてもこの作品、インド映画にしては珍しくかなり短い?ですよね。インド映画は長くて見慣れていないのですが、逆に短いと観やすくなります。
そういえば呂小龍が出演していた『Katilon Ke Kaatil』ですが、昨日見直してみたら、あのカサノバ・ウォンが出てました!(笑)
>例の作品、今日早速コピーしておきましたよぉ~(笑)
どうもお手数かけました。こちらもコピーしておきましたよ。
仰るとおり、この作品はインド映画では珍しく短いです。最初ランニングタイム見たとき「どこか切られてないか?」と思ったほどです。多分人気テレビ番組の映画化ということで3時間持たせる制作費の余裕がなかったんでしょう、きっと(笑)