基本的にはヒンディー語映画を扱っているこの大梵林映画祭だが、時として多言語の作品を扱う事があるのでここに記しておきます。でも、まぁインド映画=ボリウッドで通っちゃっているのであまり気にならないか。
今回の紹介作品は南インドのカルナータ州で製作されるカンナダ語映画界が誇るアクション馬鹿野郎、スリラー・マンジュの監督・主演作『JACKIE CHAN』(96)だ。
タイトルだけ聞くとジャッキー映画かと勘違いしそうだが、ビタ一文ジャッキーは出演しておりません。劇中に小道具として彼の主演作『デッドヒート』のポスターが出てくるだけ。最初にこの事実を知らずに鑑賞すると痛い目に遭います、これホント。しかし、ジャッキー云々を抜きにして一本のアクション映画として観るとなかなか新鮮で面白かったりするんだ、これが。
内容はマンジュ演じるマーシャルアーツの達人の刑事が、悪徳政治家も裏で絡んでいるギャング団により身内を殺された男たちと協力し合い復讐・全滅させるといったもので、ここでもインド映画お得意の“不幸の連鎖”が描かれており、ドミノ倒しのごとく続く不幸にと観るものをゲンナリとさせてくれます。でもこれがあるから血しぶき舞う復讐場面や格闘シーンが生きてくるんだけどね。
「魅力的な極悪人」は南インド娯楽映画には存在しない。悪党は悪い事を続けて観客のヒートを買い、最後に悲鳴を上げながら死んでいき、それを観て観客は日ごろの鬱憤を晴らすという健全たる娯楽映画のあるべき姿がそこにはある。
一番の売りであろうスリラー・マンジュの手によるアクションは一言で言えば「やりすぎ」で、何べんもグルグル回転したり(見栄とか格闘とかで使用)、コマ落とししすぎて格闘シーンがマンガになっちゃったり、やられる悪漢はビューンと飛んでいったり、フロントガラスを何枚もぶち破ったりとやりたい放題。内容からすれば低予算映画なのかなと思いがちだが、次々と火花が上がったり、何十台と言うバイク・自動車・馬・トラクター(?)が一斉に主人公たちの乗ったトラックを追いかける場面を観ると、意外にお金が掛かっているのがわかる。
このやりすぎアクションを観ていてふとラジニカーントの映画を思い出した。そういえばタミル語映画も南インドだったなぁ。無茶ぶりアクション演出は南インドでは常識なのか?北インドのヒンディー語映画ではお目にかかりませんが。
「96年の作品だから無茶苦茶なんだよ。今だったらもっと洗練されているに違いないって」
とお思いのあなた。現在YOUTUBEでその一部が視聴できる最近のマンジュ(アクション演出)作品『DURGI』(04)をご覧になって観て下さい。やりすぎアクションは現在も(ちょっと前だけど)健在です。南インド映画アクション万歳!
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