アイスリボンという女子プロレス団体が存在する。
ネットやツイッター等ではかなり高評価のようだし、私自身も雑誌や動画でその存在は知っている。だが生観戦となると、後楽園ホールや新木場1stRING、はたまたアイスリボン道場で定期的に行われている興行等へは、距離が遠すぎたり金銭的な面で気軽に行ける、というレベルではない。地方に住む者としては当たり前である。では、向こうからこちらに来たらどうするか?無論行くしかないでしょ!というわけで名古屋の《プロレス者》が待ち望んだアイスリボン選手会興行、通称・名古屋リボンへ昨日、行ってきました。
アイスリボンが名古屋で興行を打つのは今回が2度目らしいのだが、初見の私としては開場前から大勢のファンたちが入り口前で並んでいたのが最初のインパクト。結構この地方にもいるんですね、アイスリボンのファンって。もっと少ないかとタカを括っていたが全ての席が試合開始前にほぼ埋まったので、関係者でなくともこれは嬉しい。
そして興行が開始されるや(もちろん5分遅れの名古屋時間)、所属選手全員によるソーラン節の演舞が唐突に始まった。普通に始まるものだと思っていた私は頭の上に「?」マークが飛び出し呆気に取られてしまった。飛び道具ともいえるこのオープニングの演出で観客のハートはしっかりと握られたに違いない…しかし何故にソーラン節?
当日の試合結果はアイスリボンのHPで発表されているので書かないけれど、個人的な試合の感想については書いていこうと思う。
第1試合 シングルマッチ 10分1本勝負 つくしvsくるみ
本日のオープニングアクトを飾るのは、中1のつくし選手と小5のくるみ選手の一騎打ち。リングコスチュムが結構しっかりしていたのにビックリ。低年齢選手はシャツと短パン(スパッツ)で戦うもんだと思っていたから。試合はというと、これがレスリングの基本に則った本格的な攻防。まだ体も出来ていない年齢故、レベルの高い危険な技を使って怪我する(させる)よりはこういったベーシックなレスリングで客の目を自分たちに向けさせることが大事。
第2試合 リボンタッグトーナメント1回戦 20分1本勝負 真琴、りほvs松本浩代、松本都
名古屋リボンの目玉である 『イケ!イケ!今、行け!!リボンタッグトーナメント』の初戦。中学生レスラー・りほと最近メキメキと実力を付けてきている真琴、そして自己中キャラがウケている松本都という個人的に注目している選手たちが遂に登場!試合は真琴&りほ組がなんとか勝利したものの、松本コンビに終始ペースを握られていたような気がした。それに太っているわけではないが適度に脂肪がついてプロレスラー然とした体型の松本浩代、特異なキャラクターで常に観客の目を釘付けにする松本都に比べて、あまりにも真琴のキャラクターが立っていない事が気になった。真琴にはキャラ立ちまくりのW松本ペアを喰うような大活躍を期待していたのだが…
第3試合 リボンタッグトーナメント1回戦 20分1本勝負 志田光、藤本つかさvs水波綾、宮城もち
いよいよタッグリーグ戦大本命のインターナショナルリボンタッグ王者ペア、志田&藤本組の登場で会場もヒートアップ。対するはセンダイガールズプロレスリング所属で地元・名古屋出身の水波と、デビューして間もない宮城のコンビ。この試合で大いに株を上げたのはアイスリボン勢ではなく、水波だった。里村明衣子により徹底的に鍛え上げられた、その説得力抜群の肉体と技術は王者ペアを終始圧倒し続けた。エルボーを打つ音や受身を取る音からして既に違うもん、彼女。こちらもギリギリの勝利を王者ペアが奪ったものの、体力差は歴然だった。この辺がアイスリボン勢の今後の課題なのかも?
ここでハプニングが起こった。会場のファンに勝利報告をする志田に対し、同じくトーナメントを勝ちあがってきたりほが「タッグ選手権をここで組め!」と噛み付いたのだ。結局藤本の独断でタッグトーナメント決勝戦はタイトルマッチとして行われることになったが、簡単にタイトル戦が組めるほどこのベルトは価値が無いのかい?と問いたい。本来タイトル戦というのは然るべき順序を踏んで行われるべきものだし、またそうしたほうが付加価値があってよりタイトルに重みが付くと思うんだよなぁ。これでもし無様な試合結果であれば、すべてが茶番に終わってしまうリスクをりほは背負ってしまったが果たして…?
第4試合 シングルマッチ 15分1本勝負 飯田美花vs都宮ちい
裏テーマが『腹黒No1決定戦』だそうで。19時女子プロレスなどで浸透しつつある都宮の『腹黒』キャラが、ここ名古屋でもしっかり認知されているのは大したものだ。「お願いしま~す」とかわいい声上げただけで「Boooっ!」だもんね。逆に飯田は都宮の毒気に当てられっぱなしでそれらしく感じなかった。キチンと19時女子をチェックしてないから彼女がどういうキャラかイマイチ分からない。これで初見の私に「自分はこういうキャラですよ」と試合で提示できればそれはすばらしい事だと思うのだが。全部都宮がオイシイ所取り、な印象。
第5試合 タッグマッチ 30分1本勝負 大家健、みなみ飛香vsGENTARO、ウルトラマン・ロビン
数分間の休憩を挟み、いよいよセミファイナル。もうこのマッチメークの時点で観客たちは「気楽に見ようや」という意識で観戦していたはず。だって男性3人の中に女子1人だよ?ただし職人肌のGENTAROがいるのでそれなりに形にしてくれるだろう…と思っていたのだが、意外にもウルトラマン・ロビンがこの試合のキーマンだった!
開始早々にロビンを付け狙うガッツ星人(ってのがいるんですよ)の乱入、そして大家健・GENNTAROが念波により互いのパートナーであるみなみ飛香・ロビンを襲いだし無効試合に。ここで終わってしまっては本当の茶番になってしまうのでどうするの?と思っていたら結局パートナーを組み替えて再試合に(笑)。さぁここからはロビンのターンだ。『帰ってきたウルトラマン』のBGMが会場に流れる中調子よく攻撃するが、結局大家&GENTAROコンビにかなうはずもなく再び劣勢に。このままだとアイスリボンじゃなくなるので、唯一のアイス選手であるみなみが元・パートナーの大家の目を覚ますべく《愛》ある張り手を叩き込み洗脳を解き放ち、感激のあまり大家が彼女にハグしようとしたその瞬間、《世界一の》ブロックバスター・ホールドでピン!その後、GENTAROもロビンの手によって元に戻され、打倒ガッツ星人をロビン共々誓い合うのだった…
メインまでの幕間(コント)としてはまぁ、良かったんじゃない?今度は女子プロレスラー・みなみ飛香としての試合を是非観たい。
第6試合 タッグトーナメント決勝戦&インターナショナルリボンタッグ選手権 20分1本勝負 志田光、藤本つかさ(王者)vs真琴、りほ(挑戦者)
りほの猛烈なアピールにより、急遽トーナメント決勝戦がタイトルマッチとなったメインエベント。初見参となった名古屋のファンからすればうれしいハプニングだといえるが、逆に試合内容でベルトの価値を高めていかないとタイトルの存在意義さえ危うくなる懸念があった。言い出しっぺのりほ、そしてベルト挑戦を簡単に認可してしまった王者コンビには責任重大だ。
気合い十分で挑んだりほは叫び声を上げながら藤本の髪を掴み互いに蹴り合うし、真琴は真琴で王者組に対し激しい攻防を繰り広げ、タイトル戦・トーナメント決勝戦にふさわしい試合となった。異常ともいえるりほの執念がこの試合を白熱した好勝負へと導いたといってもいい。やはり彼女は《プロレスの申し子》だ。まだ身体が成長過程にある故に、軽量で泣かされる場面は多々あったものの、彼女から感じ取られる《闘う意志》《勝利への執念》は絶対に大事で、どんなに肉体的にも技術的にも優れていようが、これがなければプロレスは単なる《発表会》となってしまう。結果彼女たちは王者組に負けてしまったのだが、りほの《プロレスラー魂》を見る事が出来たので大変満足でした。
ここでも割を喰ってしまったのが真琴。王者コンビの太陽のような明るさ、貪欲なりほの前ではキャラクターがどうしても霞んでしまう。もっと欲を全面に出して戦えばグッとよくなるはず。それに筋肉質ではあるが身体の線の細さが目に付いたのでもっと肉をつけて《いいオンナ》になってほしい。
全試合終了後、参加選手全員による握手会が行われたが、これはいい企画いいファンサービスだった。選手とファンとの距離が一気に縮まるし(それでも適度な距離は保ちたいものですね、良識あるファンとしては)、何より「次も観たいっ!」という気にさせてくれるじゃないですか?これを機にアイスリボンのファンが増え、はたまた埼玉のアイスリボン道場の定期戦まで足を運んでもらえたら成功でしょうね。そんな私も来るべき次回の名古屋大会を心待ちにし、今後ともアイスリボンの動向に注目していく事だろう。ハッキリいって魂抜かれました、彼女らに。
最後に、今回の名古屋大会を立ち上げてくれたアイスリボン選手会長・志田光選手ならびに参加したすべての選手たちに「どうもありがとう!」と感謝の言葉を送ります。なかなか面向かって言えないからね、こういう大切な事って。
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