おくりびと
「ハッツアンよ。最近おくりびとという映画が賞をとって話題になっているのを知っているかい。?」
「テレビや新聞で話題になっているあれだろう。知ってるよ。しかし内容が内容だけにいやな気分だね。」
「確かに気分的には厭な話題だが、死は万人に平等にやってくるわけだし、考えてみるのは悪くないね。」
「そんなこと言ったって題材は納棺が中心だろう?気分的には良くないし
第一、人に不快感を与えるのはどうかと思うよ。」
「気分的に?そうじゃなくて誰にも訪れる死というものを厳粛に受け止めるのは大切なことだよ。特に近頃は死というものが、遠ざけられて人目に触れないようにする傾向があるので。」
「クマさんに聞くが、納棺をリアルに見ると、何かえるものがある?気持ち悪いだけじゃないか。大体死人の姿をみて喜ぶ奴があるか。」
「ハッツアンは気分でものを言っているが、人間の一つの事実を冷静に眺めるところに おくりびと と言う映画が認められたのではないだろうかね。人生最後の場面だから、親族一同、後に残されたものは、いろいろなことをかんがえるもんだよ。そういう話題性に焦点を当てたところが評価されて受賞に成ったんだろうよ。やはり賞を受ける値打ちがあるものだと思う。」
「クマさんがどんなにいいと評価しても、気分的に厭なものはいやだ
俺は見ないよ。」
どこまでいっても話はかみ合わない。それはそうだろう。感情論一点張りの主張と、冷静に事を考えてみようとする立場には、大きな隔たりがある。先生はどちらの主張も認めている。そして交わらない議論を、腹の底では笑っている。
「ハッツアンよ。最近おくりびとという映画が賞をとって話題になっているのを知っているかい。?」
「テレビや新聞で話題になっているあれだろう。知ってるよ。しかし内容が内容だけにいやな気分だね。」
「確かに気分的には厭な話題だが、死は万人に平等にやってくるわけだし、考えてみるのは悪くないね。」
「そんなこと言ったって題材は納棺が中心だろう?気分的には良くないし
第一、人に不快感を与えるのはどうかと思うよ。」
「気分的に?そうじゃなくて誰にも訪れる死というものを厳粛に受け止めるのは大切なことだよ。特に近頃は死というものが、遠ざけられて人目に触れないようにする傾向があるので。」
「クマさんに聞くが、納棺をリアルに見ると、何かえるものがある?気持ち悪いだけじゃないか。大体死人の姿をみて喜ぶ奴があるか。」
「ハッツアンは気分でものを言っているが、人間の一つの事実を冷静に眺めるところに おくりびと と言う映画が認められたのではないだろうかね。人生最後の場面だから、親族一同、後に残されたものは、いろいろなことをかんがえるもんだよ。そういう話題性に焦点を当てたところが評価されて受賞に成ったんだろうよ。やはり賞を受ける値打ちがあるものだと思う。」
「クマさんがどんなにいいと評価しても、気分的に厭なものはいやだ
俺は見ないよ。」
どこまでいっても話はかみ合わない。それはそうだろう。感情論一点張りの主張と、冷静に事を考えてみようとする立場には、大きな隔たりがある。先生はどちらの主張も認めている。そして交わらない議論を、腹の底では笑っている。