日々雑感

心に浮かんだこと何でも書いていく。

我輩

2011年01月25日 | Weblog
我輩

地下鉄のつり革の宣伝文句に、「我輩」という言葉があった。
我輩というと、夏目漱石の「我輩は猫である」がピーンときた。これには特別の思い出がある。

忘れもしない。中学1年生の昼休みのことであった。それまで漱石のいろいろな文章は読んだけど、とりわけ「我輩は猫である」が面白かった。面白いというよりは、小説の中の場面を幾重にも想像し、それに没頭した。多分文中の学生気分でいたのだろう。

中学生はイタズラざかりである。それは、松山も九州も変わりはない。特に面白かったのは、猫が観察する所の、学生というたち悪い人種に首をつかまれて、人間の顔の線まで持ち上げられ、そこで猫が見た、人間の顔は異形であるというところと、何回か振り回されて宙にほり投げられて、ドサットと着地したときには、目から火が出た。という場面は声をあげて笑いこけた。僕はどちらかと言えば笑い上戸の方である。

午後からの授業は始まったが、頭は猫のことでいっぱいだ。目から火が出た場面が頭の中で何回もリピートされる。
そこが面白くて、授業中に一人で大笑いした。みんな静かに授業を受けている。不謹慎なこと極まりない。

その時は理科の授業だったと記憶している。よりによって、この先生は非常に怖い先生だった。悪いことをするとよく殴る。
「誰が笑ったのか。お前か。前へ出て来い。」
顔は神妙だが、心の中では笑いが止まらん。
「もう一度笑ってみろ」と言われたので、心の底から大声で笑った。
先生は呆れている。級友はきょとんとしている。なぜ笑うのか、その理由が分からない。
「あとで、職員室に来い。そのまま、授業は終わるまで、そこに立っておれ」
授業が終わったら、級友は「お前、度胸があるな」と感心する。
こちらは度胸というよりはおかしさが先立つ。笑いが炸裂したのだ。
職員室ではたんまり、タコをつられた。
今日は久しぶりに、中学時代の記憶に残る楽しい思い出を書いておこう。