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■【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】6-03 苦肉之計 なし崩しに物事に対処するなかれ~苦し紛れで考えついた方法で対峙する~

2025-03-08 12:21:00 | 【小説風 傘寿】老いぼれコンサルタントの日記

  ■【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】6-03 苦肉之計    なし崩しに物事に対処するなかれ~苦し紛れで考えついた方法で対峙する~   


 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

第6章 仕事上手になる法
 論理思考で現状分析をキチンとし、方向性を明確にしてからPDCAサイクルを回し始めても、実際に行動に移したときに旨くいかないことがあります。やりたいという気持ちはあっても、いざ行動に移そうとしたときに、動けないこともあります。
相手の人を説得したり、納得させたりしても、必ずしも相手は期待通りに動いてくれないことがあります。日常生活においてだけではなく、経営者・管理職にとっては、社員や部下が動いてくれないというのは深刻な問題です。
 人の価値観というのは、多様性に富んでいます。論理思考で相手を説得したからといって、相手は納得したわけではありません。一つの価値観だけでは、相手は納得してくれません。人は、理屈だけで動いているわけでもなく、感情もあります。
 うまくいかない原因として、やろうとしていることにコツやカンというものがあったり、それを行うための技術が必要であったりして、その習得ができていないことでうまく行かないことがあります。コツの飲み込み方が上手な人もいれば、そうでない人もいます。
 このような時に、役立つ四字熟語がありますので、ご紹介します。ここでは、四字熟語の中から、相手を理解し、一方、相手にその気になってもらうには、どうしたらよいのか、心に訴えるヒントを感じ取っていただきたいです。

■6-03 苦肉之計    なし崩しに物事に対処するなかれ
    ~ 苦し紛れで考えついた方法で対峙する ~


 絶体絶命の状態でも、弱者が意外な力を発揮して、強者を苦しめるということはランチェスターの弱者の法則でも、経営面で知られています。別項におきましてでたきました「窮鼠噛猫」という四字熟語と同じ意味で、「窮鼠噛狸(きゅうそごうり)」というのがあります。前者が猫でしたが、後者は狸が登場します。窮地に追いやられるとネズミが身体の大きな狸にもかみついて必死に生き抜こうとするということを教えてくれています。
 企業経営におきましても、窮状に至りますと、「苦心惨憺(くしんさんたん)」してもなかなかその状況から脱することが困難で、「孤城落日(こじょうらくじつ)」となりがちです。「苦心惨憺」とは、課題解決のために一所懸命に知恵を絞り、策を弄して、困難克服のために非常に苦労や工夫の努力を重ねることを指します。「苦心」とは、あれやこれやと心を砕き考えることで、「惨憺」は、心を悩ませることで、「悪戦苦闘(あくせんくとう)」とか「粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)」などと同じような意味で用いられます。
「孤城落日」の「孤城」は、援軍から遠く、孤立してしまった城のことです。「落日」は、沈んでゆく夕陽のことで、落ちぶれるという意味にも使われます。すなわち、「孤城落日」は、「孤城落月(こじょうらくげつ)」とも言いますが、「援軍もない心許ない」状況を指します。
 窮地に陥っても、簡単に諦めるなという教えは、列子の「愚公移山(ぐこういざん)」という言葉からも学べます。訓読では「愚公山を移す」と読みます。愚公が、生活の邪魔になる山を切り崩そうと村人に声をかけました。しかし、人々は、「それは不可能」と嘲笑しましたが、「子々孫々の代までかかってもやり遂げる」という愚公の熱意に動かされた天帝が、山を他所に移動してやったという故事に基づく四字熟語です。
「必死になって、根気強く努力を続ければ、最後には必ず困難を克服でき、志を成し遂げられる」という教えです。ところが、最善の策が見出せないときもあります。そのようなときには「窮余一策(きゅうよいっさく)」、すなわちいろいろと熟慮を重ねましたが、良策に至らず、困り切った挙げ句にやむを得ず採用した方法を指します。その意味では、「非常手段(ひじょうしゅだん)」という言葉と通じるところがあります。
「窮余一策」に通ずる四字熟語として「苦肉之計(くにくのけい)」とか「苦肉之策(くにくのさく)」という言葉もあります。計画を軽視し、「窮余一策」は「苦肉之計」で行いますと、何ごとも不完全なままで終えざるを得ません。
 ギリシャ神話の中に「トロイの木馬」と言うのがあります。トロイア戦争の時に、ギリシャ軍が、「金城鉄壁(きんじょうてっぺき)」なトロイア国の城を攻めあぐねていました。大きな木馬を作り、ある夜、それを敵の城門の前に置いておきました。朝になって、城門前の大きな異物を発見したトロイア軍の兵士は、それを場内に運び込みました。その晩、要塞堅固な城に油断をして、手薄になっている所に、大きな木馬の中に潜んでいたギリシャ兵士が木馬から出てきて、城門を開けてギリシャ軍を勝利に導いたというストーリーです。
 これによく似た話が、中国の漢書にでてきます。ある男が、敵を欺くために、わざと自分の身体に傷を付けて、敵陣に逃げ込んだ振りをしました。敵陣内に入ったその男は、敵の内情を探り、見方を勝利に導いたと言います。苦肉之策というのは、苦し紛れに考えついた方法で課題に対峙するという意味です。
 因みに「金城鉄壁」というのは、「金城」は金で作ったような堅牢で、守りが堅固という意味です。敵が容易に城壁内に入れなくて、陥落が困難な城という意味から、「堅固で隙がない」という意味に用いられます。中国におけます「城」は、日本の城と異なり、都市を城壁で囲み、民衆もそこで生活できる広い範囲を指します。「金城鉄壁」と同じ意味で「難攻不落(なんこうふらく)」「金城湯池(きんじょうとうち)」という四字熟語があります。「湯池」は、「湯の池」すなわち、熱湯のたぎる堀に囲まれた城のことです。
 多くの企業で、PDCAが定着しているかのように見えます。計画を立てても、期限がまだ充分ありますので、スケジュール的にゆとりがあると油断してしまい、期限が近づいて慌てることがあります。時間的制約があり、余裕がないあまりない中、作業を進めるとどうしても雑になりがちです。また、腰を落ち着けて考えるゆとりがなく、本来なら生まれてくるような知恵が十分発揮できません。「時間がないので、これでやるしかない」と窮余一策を絞り出してくることがあります。窮鼠噛猫で良いアイディアが生じてきたのでしたら良いのですが、得てしてそのようなときと言うのは、「思案投首(しあんなげくび)」、すなわち「考えてはいるけど名案が浮かばないで、困って首を傾げる」ならまだしも、「時間がない」のではなく、「時間がなくなるような、ギリギリの状態に追い込まれてしまってやむをえない」状況を作ってしまっているのです。そのような社風の企業は、万事において、このように「なし崩し」で業務が行われる傾向にあります。その結果、中途半端な計画で、中途半端に仕事をし、そのチェックやアクションも中途半端になってしまいがちです。
 ある会社で、販売促進のための企画課長が主催して企画会議を開催することになりました。販促策はまだ数か月先ということもあり、開催案内の配布を先延ばしにしていました。あるとき、部長から指摘を受けて会議を開催したのですが、企画まで一か月足らずになってしまいました。
 その販促策のコンセプトも十分に審議せず、複数の担当者に業務を割り振って、準備に着手しました。案内状を作成する担当者は、以前の販促企画時の案内状を基に作成、それを発送しました。開催予定の会場予約の担当者は、予定していた会場の予約ができず、別の会場を予約せざるを得ませんでした。会場の設定も展示業者との打合せがちぐはぐとなり、装飾の変更を起こさざるを得なくなりました。案内状発送担当者は、来客の動員活動に入ったときに、案内状内の会場が間違えていることを発見し、急遽印刷物の手配をやり直し、再発送したりしました。
 いろいろな不手際がありましたが、当日がやってきました。その日は、週末のために会社はお休みの日でした。念のために、販促企画担当者のひとりを会社に待機させておいたのですが、「会場に行ったけど、誰もいないがどうなっているのか」という電話がひっきりなしで、対応に大童でした。二度目に出した会場変更の案内状を見落としたお客様が旧案内状の会場に行ってしまったのです。
 会場の装飾も、企画内容にふさわしくない、ケバケバとしたものであったり、会場に展示すべき商品が案内状にそぐわなかったりという問題も起こりました。また、予定した集客数の五十%にも至らない動員結果となってしまいました。会場案内の手違いで来なかった人も多いのかもしれませんが、なによりも案内状の内容が抽象的で、具体性に欠けていました。そのために、案内状を受け取った人が、「行きたい」という気持ちを起こさなかったようです。
 この企画の担当者達は、当然のことながら、PDCAということを知っています。その効果や価値も解っていながら、それが絵に描いた餅にすぎなかったのです。計画段階、準備段階、直前の確認、当日の対応等々、すべてが「時間がない」ということを理由にして、「なしくずし」に進めてきました。なし崩しで進めてきたことが問題であることを認識せず、お互いに「連絡が悪い」「聞いていない」等々の責任のなすりあいでした。「なし崩し」が「日常茶飯」に行われている企業体質ですと、それが繰り返されてしまいます。これでは将来が危ういといっても過言ではないでしょう。
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