【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】2-06 岡目八目 全体におけるポジショニングの把握 利害関係者より、第三者の方がよく見える
四字熟語の中には、物事の発想や思考に関する熟語もあります。「理科系の人は理屈っぽい」とか「あの人に理屈でまくし立てられますと、太刀打ちできない」などという言葉をしばしば耳にします。
たしかにビジネスの世界では、上手に説明ができなかったり、自分が主張していることが相手に正確に伝わらなかったりすることが多く、自分の非力さを痛感することが多いです。
四字熟語の中に、思考に関して示唆ある熟語が想定以上に多くあります。その中には、相手の言っていることを正確に理解できるようになるための示唆を与えてくれるものがあります。どの様に発想したら、相手に自分の思いをわかっていただけるのかを感じ取らせてくれる四字熟語もあります。思考力のハウツー本としてではなく、四字熟語の中に、思考力を高めるヒントを見つけていただきたいと思います。
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~ 利害関係者より、第三者の方がよく見える ~
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「俯瞰細観(ふかんさいかん)」に類似した四字熟語に「岡目八目(おかめはちもく)」という熟語があります。昔の日本では、夏の風物詩のひとつに縁台将棋とか囲碁があります。二人だけの勝負の様に見えますが、二人の勝負にそれを見ている外野も参加したイベントです。
碁や将棋を打っている人は、自分が関心を持っている局面に意識が集中してしまい、他の部分に注意が届かないことがしばしばあります。「一心不乱(いっしんふらん)」という状態です。
しかし、その状況を後ろや脇から覗いている人は、比較的冷静に、客観的に見ていることもあり、良い手が見えたり、危機を察知したりすることができます。自分で気がついたことを当事者に伝えたいのでむずむずしてしまいます。
これは、状況を俯瞰的(ふかんてき)に観ているとも言えます。俯瞰的に観ると言うことは、鳥瞰図的に観るとも言われます。鳥が大空から下界を見下ろすように全体を把握するものの見方で、論理思考の分野でもしばしば使わる言葉です。
「岡目八目」というのは、「当事者よりも、回りで観ている人達の方が、直接の利害に関係しないこともあり、ものごとの全体の流れ、時にはものごとの真相を理解することができる」という意味です。
経営者は、「おれの会社のことは、おれが一番よく知っている」と思い込みがちですが、実はそうでもないのです。われわれが企業を訪問しますと、第三者的な冷徹な目で企業を診ることもあり、経営者が気がついていない、あるいは気がついていてもその重大性に気がついていないことなどに目が行きます。ここに、別項で記していますように外部ブレインの存在価値があるのです。
「新幹線理論」というのがあります。一見すると高度な鉄道技術など、難しい技術的な理論のようですがそうではないのです。私事になりますが、息子が小さい頃、速い新幹線に乗りたいというので乗せました。上りの新幹線と交叉したときに「ああいう速い新幹線に乗りたい」と言い出しました。自分から見ると自分の新幹線は止まっているように思えたのかもしれません。すれ違う列車の方が速く走っているように見えたのでしょう。
その渦中にいますと、自分が高速で移動していることを忘れてしまうのです。自社の状況は、自分が一番よくわかっているつもりでも、あまりにも身近で見えなくなっていることが多いのです。客観的な目で見るとなんでもないようなことを見落としていたり、あまりにも当たり前になってしまっていて、自分たちがやっていることが第三者から見るとおかしなことをしたししているということが多々あるのです。すなわち経営者は経営コンサルタントに冷徹な第三者からの目で見てほしいと望んでいるのです。
経営者の中には、社員の言うことには耳を貸さないという人もいます。そのような時には、社員の代弁をし、経営者をいさめることも必要です。しばしば、その企業の問題点の元凶が経営者にありますので、経営者を変革させることが最も重要なテーマであることもあります。
岡目八目は、碁を打っている当人二人よりも、むしろ外野の方が全体を見渡せ、八目先までも読めるという意味で、転じて、傍観者の方が状況や深窓を読めるという意味にもなり「傍目八目(ぼうもくはちもく)」というようにも表現されます。
客観的に見ることにより見えると言うことでは、別項の「俯瞰細観」でもご紹介しましたが、私たちは、いろいろと目に見えてくる事象や思考やアイディアなど目に見えないものの集合の中から、最適と思われるものを選びながら日々を送っています。このように、いろいろな物の中に、自分にとって必要なもの、価値のあるものを選ぶ局面が多いです。
このようにいろいろな物が混じり合っている状況を「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」という「抱朴子」にでてくる四字熟語で表現します。「種々雑多(しゅじゅざった)」も「いろいろな物が雑然と混じっている」という意味で使われます。
「玉石」は宝石や石ころのことをさし、「混淆」は「混交」という文字を昨今では使うことから、「玉石混交」と書くこともあります。「玉石雑糅(ぎょくせきざつじゅう)」ともいいます。「糅(じゅう)」は、「主食の量を増やすために混ぜ加えて炊く物。アワ・ヒエなど。加薬。(weblio)」という意味です。高価なお米ばかりでは満腹感を得られませんので、粟(あわ)や稗(ひえ)等を混ぜた食べ物から来ています。
ビジネスの世界では、「石」を「人」とか「人材(人財)」と置き換えて考えることがしばしばあります。すなわち「優れた人とか必要な人と劣った人、必要とされない人というように人財というのは入り混じっている」という様な意味で用いられます。
また、価値あるものとして自分が選ぶべきものもあれば、とりあえず保管しておいて、後で判断するもの、廃棄するものに分別するという整理術の基本にも繋がります。
です。
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