子供の頃、僕はよく物を吐いた。
熱があるわけでもなく胃が痛むでもなく、
何の前触れもなく胃の中のものを吐いてしまうのだ。
医者は「自家中毒です。」と診断した。
「過保護の子供のかかる病気です。
なかには中学生になっても治らない子供もいます。」
とも言った。
そして
20cmくらいある大きな注射を僕のお尻に打った。
家で甘やかされてる分
病院では辛い思いをさせてやろう
という発想ではないか、と疑ってしまうほど
今思い返してもあの筋肉注射は痛かった。
僕が嘔吐するたび母は僕を医者に連れて行った。
そして僕はその注射器を見るたび
恐怖で泣き叫んだ。
母は笑いながらそんな僕をなだめたが
自分も泣きたい気持ちだったかもしれない。
周囲の人間は過保護にしすぎると言って
いつも母を責めた。
2才年下の妹はすごくまともに成長したが、
僕の方は歳を重ねても少しもまともにならなかった。
自家中毒は中学生になっても治らなかった。
母は随分と子育てで悩んだに違いない。
一年前のことになるが、
病院で母に付き添う僕を見て
看護師さんが
「優しい息子さんで本当にうらやましいです。」
と母に言った。
母はすかさず、
「育て方がうまかったのよ。」
とても嬉しそうな顔で笑いながら言った。
恥ずかしかったが、
僕も幸せな気分になった。
熱があるわけでもなく胃が痛むでもなく、
何の前触れもなく胃の中のものを吐いてしまうのだ。
医者は「自家中毒です。」と診断した。
「過保護の子供のかかる病気です。
なかには中学生になっても治らない子供もいます。」
とも言った。
そして
20cmくらいある大きな注射を僕のお尻に打った。
家で甘やかされてる分
病院では辛い思いをさせてやろう
という発想ではないか、と疑ってしまうほど
今思い返してもあの筋肉注射は痛かった。
僕が嘔吐するたび母は僕を医者に連れて行った。
そして僕はその注射器を見るたび
恐怖で泣き叫んだ。
母は笑いながらそんな僕をなだめたが
自分も泣きたい気持ちだったかもしれない。
周囲の人間は過保護にしすぎると言って
いつも母を責めた。
2才年下の妹はすごくまともに成長したが、
僕の方は歳を重ねても少しもまともにならなかった。
自家中毒は中学生になっても治らなかった。
母は随分と子育てで悩んだに違いない。
一年前のことになるが、
病院で母に付き添う僕を見て
看護師さんが
「優しい息子さんで本当にうらやましいです。」
と母に言った。
母はすかさず、
「育て方がうまかったのよ。」
とても嬉しそうな顔で笑いながら言った。
恥ずかしかったが、
僕も幸せな気分になった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます