第三幕-2
看護師と入れ違いにボブがバタバタと病室に入ってくる。
ボブ:兄さん、兄さん、大丈夫か?僕だよ!ボブだよ!
遠藤:……
ボブ、桜子の方を見て、
ボブ:あ、遅くなってすみません。急遽ロサンジェルスから駆けつけたもので。
小吉さんの亡くなった妻クリスティーナの弟の
ロバート・ステュアートと申します。ボブと呼んでください。
桜子:え?クリスナントカさんて、外人の奥さん?
ボブ:え?知らないんですか?
桜子:いや、金髪の奥さんをもらったって有名でした。はい。
ボブ:金髪?
桜子:いや、赤毛の。
ボブ:赤毛?
桜子:いや、黒髪の。
ボブ:黒髪?
桜子:じゃあ、緑色の髪の。
ボブ:ブルネットですよ。
桜子:ブルドッグ?
ボブ:もう、髪の色なんかどうだっていい。
あなた義兄さんとどういう関係なんです?
クリスティーナを知らないなんて。
桜子:小吉さんの従姉妹の娘の桜子と申します。
小吉おじさんには小さい頃、それはそれは可愛がってもらいました。
ボブ:小さい頃?その頃、義兄さんはアメリカに住んでいたんでは?
桜子:まあ、アメリカに住んでいたんですか?
それで外人の奥さんを…。
正直に言いますと大人になってからの伯父さんは知らないんです。
でも、母は伯父さんと幼馴染みでした。
これは本当です。
母はおじさんと結婚の約束もしてたんですよ。
ボブ:結婚の約束!?
桜子:ええ、尋常小学校一年生のときに。
ボブ:はあ?
桜子:はあ、じゃないわよ。母はそれはそれは楽しみにしていたのよ。
それが、高校生になった頃にはコロっと忘れて世界民族一元化論
というのを唱え初めて。
ボブ:なんですか、その「世界民族一元化論」というのは?
桜子:日本人は米英の女と結婚すべきだ、って言うのよ。
危ない危ない。「鬼畜米英」って軍部が宣伝していた時にですよ。
憲兵にも目をつけられていたって話よ。
ボブ:ふうん。それでクリスティを選んだのか。
クリスティ一人なら理解できるが、
何でまた今度はフィリピン人なんだ?
桜子:フィリピン人?
ボブ:ええ、フィリピン人の女子高生と援助交際してて警察に捕まったんですよ。
桜子:まあ、テレビのニュースのとおり。やるわね伯父さん。
看護師が登場
看護師:遠藤さ~ん、お体拭きに来ましたよ~。
遠藤さ~ん、寝てるのかな?
桜子 :伯父さん、起きて。
看護師:あのう、タオルとか下着の替えとかないですか?
桜子、戸棚の引き出しを開け探す。
看護師:無ければ下の売店で売ってますよ。
今は病院のタオルで済ませますが、用意しておいてくださいね。
ほんと、警察って不親切ね、気が効かない。
パンツはおしめしてますからいいですけど、シャツがいりますね。
前穿いていたパンツは洗っておいてくださいね。
浴室の隣に洗濯機がありますから。
一回100円、テレビのプリペイドカードで支払えますから。
桜子 :じゃあ私、売店に行ってきます。カードも買わなきゃ。
看護師:カードはデイルームに自販機があります。
それから、パジャマも売店で売ってますからね。
つなぎの上から下までチャックが付いたやつですよ。
着替えが楽になりますから。
桜子 :はい。じゃ行ってきます。
桜子、退場。
看護師、ベッドの周りのカーテンをひいて作業を始める。
ボブ、舞台の下手隅に行き携帯をかける。
ボブ:あ、ボス、ボブです。
遠藤は意識が朦朧とした状態です。
それより、変な女が現れました。
遠藤の従姉妹の娘の桜子という60ぐらいの女です。
遠藤の妻のことは知りませんが、子供の頃のことは詳しいみたいです。
あの世界民族一元化論を知ってました。
遠藤のことはテレビのニュースを見て知ったって言ってましたけど、
遺産目当てじゃないですかねえ?
え?遠藤に従姉妹はいない?
ミッションHからミッションIに変更?
はい、すぐ戻ります。
わかりました。
ボブ、バタバタと退場。
暗転
看護師と入れ違いにボブがバタバタと病室に入ってくる。
ボブ:兄さん、兄さん、大丈夫か?僕だよ!ボブだよ!
遠藤:……
ボブ、桜子の方を見て、
ボブ:あ、遅くなってすみません。急遽ロサンジェルスから駆けつけたもので。
小吉さんの亡くなった妻クリスティーナの弟の
ロバート・ステュアートと申します。ボブと呼んでください。
桜子:え?クリスナントカさんて、外人の奥さん?
ボブ:え?知らないんですか?
桜子:いや、金髪の奥さんをもらったって有名でした。はい。
ボブ:金髪?
桜子:いや、赤毛の。
ボブ:赤毛?
桜子:いや、黒髪の。
ボブ:黒髪?
桜子:じゃあ、緑色の髪の。
ボブ:ブルネットですよ。
桜子:ブルドッグ?
ボブ:もう、髪の色なんかどうだっていい。
あなた義兄さんとどういう関係なんです?
クリスティーナを知らないなんて。
桜子:小吉さんの従姉妹の娘の桜子と申します。
小吉おじさんには小さい頃、それはそれは可愛がってもらいました。
ボブ:小さい頃?その頃、義兄さんはアメリカに住んでいたんでは?
桜子:まあ、アメリカに住んでいたんですか?
それで外人の奥さんを…。
正直に言いますと大人になってからの伯父さんは知らないんです。
でも、母は伯父さんと幼馴染みでした。
これは本当です。
母はおじさんと結婚の約束もしてたんですよ。
ボブ:結婚の約束!?
桜子:ええ、尋常小学校一年生のときに。
ボブ:はあ?
桜子:はあ、じゃないわよ。母はそれはそれは楽しみにしていたのよ。
それが、高校生になった頃にはコロっと忘れて世界民族一元化論
というのを唱え初めて。
ボブ:なんですか、その「世界民族一元化論」というのは?
桜子:日本人は米英の女と結婚すべきだ、って言うのよ。
危ない危ない。「鬼畜米英」って軍部が宣伝していた時にですよ。
憲兵にも目をつけられていたって話よ。
ボブ:ふうん。それでクリスティを選んだのか。
クリスティ一人なら理解できるが、
何でまた今度はフィリピン人なんだ?
桜子:フィリピン人?
ボブ:ええ、フィリピン人の女子高生と援助交際してて警察に捕まったんですよ。
桜子:まあ、テレビのニュースのとおり。やるわね伯父さん。
看護師が登場
看護師:遠藤さ~ん、お体拭きに来ましたよ~。
遠藤さ~ん、寝てるのかな?
桜子 :伯父さん、起きて。
看護師:あのう、タオルとか下着の替えとかないですか?
桜子、戸棚の引き出しを開け探す。
看護師:無ければ下の売店で売ってますよ。
今は病院のタオルで済ませますが、用意しておいてくださいね。
ほんと、警察って不親切ね、気が効かない。
パンツはおしめしてますからいいですけど、シャツがいりますね。
前穿いていたパンツは洗っておいてくださいね。
浴室の隣に洗濯機がありますから。
一回100円、テレビのプリペイドカードで支払えますから。
桜子 :じゃあ私、売店に行ってきます。カードも買わなきゃ。
看護師:カードはデイルームに自販機があります。
それから、パジャマも売店で売ってますからね。
つなぎの上から下までチャックが付いたやつですよ。
着替えが楽になりますから。
桜子 :はい。じゃ行ってきます。
桜子、退場。
看護師、ベッドの周りのカーテンをひいて作業を始める。
ボブ、舞台の下手隅に行き携帯をかける。
ボブ:あ、ボス、ボブです。
遠藤は意識が朦朧とした状態です。
それより、変な女が現れました。
遠藤の従姉妹の娘の桜子という60ぐらいの女です。
遠藤の妻のことは知りませんが、子供の頃のことは詳しいみたいです。
あの世界民族一元化論を知ってました。
遠藤のことはテレビのニュースを見て知ったって言ってましたけど、
遺産目当てじゃないですかねえ?
え?遠藤に従姉妹はいない?
ミッションHからミッションIに変更?
はい、すぐ戻ります。
わかりました。
ボブ、バタバタと退場。
暗転
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