伊勢神宮の斎宮だった「タグハタノヒメミコ」が、突然に、その身の真実を証明っするためでしょうか、お姿をお消しになられます。天皇は、それを聞いて、「皇女よ、どこへ行った?」と、大変な御心配です。「大悪」と謗られた天皇でも自分の皇女です。家来にお任せになられないで、ご自分でお探しになりますが、その捜し方が、又、大変に変っております。それを書紀には
“恆使闇夜東西求覓<ツネニ ヤミノヨニ トザマカウザマニ タヅネマカ シタマウ”
「決まって、闇夜に、あちらこちらとお尋ねまわられた」
と、書いてああります。
昼間ではなく、常に闇の夜に限ってです。ここらへんにも何か神秘性が漂っております。
現在、色々な神社で遷宮が行われますが、決まって、闇夜にお移りになられます。先の吉備津神社のお屋根替えの時も、出雲大社の時も、伊勢神宮の式年遷宮でも、ごく最近行われた下鴨神社の遷宮でも、すべて、夜に、それも闇夜に行われます。これなども、何か、この雄略天皇が闇夜にその皇女をお探しになったということと関係があるのではないかと思われますが。どうでしょか???