「那杼理」<ナドリ>とは?。広辞苑では「汝鳥」で「あなたの意に従う鳥」とありますが、宣長は、はっきりと
“平和<ナドリ>なり。・・・・・・”
と。そして、その前にある“知杼理<チドリ>に対しての“那杼理<ナドリ>で、「今は千鳥のさえずりのように心騒がしく思うのですが、後には、必ず逢って、あなたの心を平和(なご)ませますから。」と、小さな声で、戸の外で待っているオホクニに歌って聞かせたのだ」と書いておりますです。
古事記には、更に続けて付け加えます。
“伊能知波 那志勢多麻比曾<イノチハ ナシセタマヒソ>” と。
沼河比売がオホクニに呼びかけたのです。
「今、すぐにはあなたにお会いできませんが、後にはきっとお会いできます。その為に{(な・・・・そ)です}決して、私を恋こがれて死ぬなんて事はしないでくださいね。今しばらく待っていてくださいね」
と。
どうしてこのような恋焦がれる思いを歌にして言ったのだろうかと不思議な気もしないでもないのですが、これってもしかすると、オホクニの大声で人目もはばからずに歌ったことに対する、何か皮肉めいて揶揄した
「そのような大声を出したりしないで、静かにもう少し待っていてくださいね」
という言葉ではなかったのでしょうか。「あなたの命は大切にしてくださいね。決して死んだりはしないでね」が、オホクニの心を十分に捉えることができ、辺りが、再び、静寂な夜に戻ったと言う事を暗示しているみたいに私には思えてしようがないのですが。、
そのように、この沼河比売が冗談めいて歌ったのではと感じたのは、次の“伊斯多布夜・・・・許遠婆”というオホクニが歌ったそのままの言葉で歌われている所からも分かるような気がしてなりませんが・・・・・・どうでしょう。
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