11.タバコの煙 2005年09月03日 | 物語 一年に一度のせつない風が胸をかすめていった。 夏が終わると少し冷たい何とも言えない風が吹いている。秋の始まりを私達に教えているかのように胸に鋭く突き刺さった。 この風が吹くとタバコ屋の洋子の事を思い出す。 あれは、50年前。 洋子は高校生で私は大学生だった。 おさげ髪がよく似合っていて、笑顔が素敵だった。私がタバコを買いに行くといつも笑顔で挨拶をしてくれた。タバコ屋の娘だった。私が毎日 . . . 本文を読む