恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

6.故郷

2009年01月07日 | 家族
 周りは田園風景が広がり、正月の賑わいもなくなりはじめていた。
 親父と口喧嘩して、家を出てから丁度10年になる。
 あの時は、何であんなに啖呵をきっていたのだろうか。
 就職も決まらず家でフラフラとしているから怒られて当たり前の事なのだが、私は若かったし、親の言う事に逆らいたい年頃だった。
 今考えたら、親父の優しさだったとつくづく思う。
 親というものは、いくつになっても子供の心配をしているものだ。
 私は、息子を持って、初めて親の気持ちというものを知る事になった。
 親父からしてみれば孫になる。
 「親父。孫連れて来たよ。もうこんなに大きくなった。一度逢わせてやりたかったんだけど、俺も親父に似て頑固だからな。ごめんよ。」
 涙を流しながら、父の墓に息子と一緒に手を合わせ拝んだ。
 遠くで、神社の鐘の音が夕暮れ時を知らせていた。
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2 コメント

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沁みます・・・ (ほゆり)
2009-01-09 10:00:42
いつもありがとうございます。

キーボーさんのお話は
情景が鮮明に浮かび上がるものがとても多いです。
心象風景はさらに鮮やかです。

子を持って初めてわかる親の気持ち。
しかし既に
その前にわかる人もいる。

作家というのはそういうものかと
想像の無限さを感じます。

それは「愛」の深さなのかもしれません。
人間というものに対する愛の・・・。

今年も更新、毎日楽しみにしています。

お正月を少し過ぎたころ

父に対する思いを抱き
感謝を胸に幼子の手を引き訪れた場所は


夕暮れの墓地だったんですね・・・・・・。



映画より素晴らしい世界


キーボーさんの才能に

これからも期待しています。




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ありがとうございます。 (キーボー。)
2009-01-10 07:35:40
いつも温かなコメントありがとうございます。
私以上に情景を分かってくれて嬉しく思います。
親とは、時に喧嘩したり、仲良くなったり、しますが、やはり一番子供の事を知っているのは、親だと思います。
私もこの歳になって、何となく分かってきたように思います。
どこまで行くのか分かりませんが、この恋愛ブログ、これからもよろしくです。
今度は、宇宙かな(笑)
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