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世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

13.雪合戦

2008年02月14日 | 冬の物語
 中学校の校舎が取り壊しになる事を聞きつけ4人が集まった。
 私とタカシとアカネとユリだ。
 それぞれ家族があり、集まるのは25年ぶりの事だった。
 校庭に入ると桜並木があって、その近くにはチューリップを植えた小さな畑があったが、まだ咲いてはいなかった。
 昨日から降っていた雪がうっすらとだが積もっていて、運動場に真っ白な空間が出来ていて、四人の足跡がついた。
 一時の間、古びた校舎を眺めていた。
 「この校舎もなくなるんだね。」ユリが呟く様に言った。
 「何だか寂しいね。」アカネが付け足すように言った。
 ユリとアカネは、中学の頃初恋をしていた。
 ユリは、サッカー部の先輩で、アカネはバスケ部の先輩だった。二人とも手をつなぐのが精一杯だと言っていたが本当の事は定かではない。
 タカシはグレてて、担任の先生を殴ったことがあった。確か緒方先生だ。その緒方先生は優しくて問題にせず、卒業式の日にはタカシの事を「よく卒業した。」と涙ながらに褒めていた。
 私は生徒会長をしてて、同級生と話すときが一番楽しかった。
 3人ともしわが増え、50歳を突入していた。
 ユリは、息子と娘がもうすぐ成人すると言った。アカネは一度結婚したが、性格の不一致で旦那と別れ、今は一人のようだ。タカシは土建業の現場監督をしてて、娘が高校三年生だと聞いた事があった。私が「彼氏連れて来たらどうする?」と聞くと「ぶっ殺す。」と笑っていた。私は、彼氏の事を考えると笑えなかったが、久しぶりの会話が楽しかった。
 私もそれなりに家族がいて、今年1歳の孫がいる。後、糖尿病にも悩まされる歳になってしまった。薬がないとどうも調子が出ない。
 アカネが雪を見て、「雪合戦しようか。」と言った。タカシが「いいおばさんがよく言うな。」と答えて、雪を投げた。ユリも白い雪を丸めて私の方に投げた。
 「このやろー。」と投げ返した。冷たい雪が全身に伝わっていく。まだ生きているなと感じる。
 いいおじさんとおばさんが運動場で無邪気に投げる姿が、最後の校舎を美しく彩っていた。
 
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