夕方、タクシー会社の同僚と一緒にコンビニで買った缶コーヒーを飲んで一息ついていた。
「今日は大分温くなったな。」
「朝と夜はまだまださみぃーよ。」そんな会話をしていると同僚の方に無線が入る。
「えーただ今大通り2丁目交差点に一名のお客様が待っています。」
「こちら今から向かいます。」同僚が答えた。
「それじゃ行ってくる。」と私の方に向かって言い、いそいそと車を発進させた。
私もそろそろ客でも見つけるかなと思って、エンジンをかけ、お気に入りのFMラジオをつけた。
春らしい桜の話題が流れていた。
今日はソメイヨシノが満開らしい。その話を聞いたらいてもたっても入られなく、桜を見ながら客を探そうと決めた。
行く途中、細い手を挙げている赤いドレスを着た女が目に付いた。
私は車の方向キーを左に回してタクシーを止めた。
女が乗り込む。見た感じ、なんだか哀しそうな顔をしていた。
「えっとどこまで。」
「どこか人気のない静かな場所へ行ってちょうだい。」意味深な問いに戸惑った。
「お客さんそういわれましてもね。」
「それじゃ、その辺グルグル回ってくれる。」
「ハイハイ。わかりました。」運転歴は今年で3年ほどになるがこんな注文の仕方をした客は初めてだ。
なんか事情があるなと思った。バックミラーで女の様子を見ると、暗い雰囲気だったが、スタイルが良く、美しい顔つきだった。
この年になって、少しときめいたかもしれない。
「えっとどこに行きましょうか。」もう一度尋ねてみた。
「そうね。この辺りに海あるかしら。」一時考えて女が答えた。私は戸惑った。もしかしたら自殺でもするんじゃないかと思ったからだ。死に場所に連れて行くなんてごめんだ。
「お客さん。勘弁してくださいよ。海で何するんです?」
「別に死にはしないわよ。私死にそうに見えるかしら。普段は明るくて、美人なんだけどね。」と言って微笑んだ。
「美人な人は何をしても美人ですけど、お客さん何かあったんですか?」
「それって私褒められているって事よね。さっき、彼氏と別れてきちゃったのよ。ろくな男じゃなかったわ。働かないし、ギャンブルはするし、こっちから振ってやったわ。」女が強気で言ったが、目には涙をこらえている様に見えた。
「そうなんですか。」私は頷く事しか出来なかった。
海が見えてきて、砂利にタクシーを止めた。真っ暗な海はどこか怖かった。
「えっとつきましたよ。」
「ありがとう。一時泣いたらすぐ家に帰るから心配しないで。」と言って女が一万円札を財布から取り出した。お釣りを返そうとしたら、拒否された。
「話しを聞いてもらったから何かの足しにして。」女が私の手を握って囁いた。
女が車から降りて海の闇の中へと消えて行った。
私は気になり、一時の間車を止めて暗い闇をボンヤリ眺めていた。窓を開けて様子を見ていると、大声で「バカヤロー。」と泣きながら叫んでいる女の声だけが聞こえてきた。
あれだけ吠えれば大丈夫だろうなと思って、車を発進させた。
そういえば桜をまだ見てなかったなと思って、近くの公園の所へ行く事にした。
ライトアップされた桜が見事に満開に咲いている。
恋も桜と同じで、満開の時が一番いい。後は心が散って行くだけかもしれない。
出来ればまた、さっきの人と桜の咲く季節に明るい笑顔で会いたいなと思っていた。
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「今日は大分温くなったな。」
「朝と夜はまだまださみぃーよ。」そんな会話をしていると同僚の方に無線が入る。
「えーただ今大通り2丁目交差点に一名のお客様が待っています。」
「こちら今から向かいます。」同僚が答えた。
「それじゃ行ってくる。」と私の方に向かって言い、いそいそと車を発進させた。
私もそろそろ客でも見つけるかなと思って、エンジンをかけ、お気に入りのFMラジオをつけた。
春らしい桜の話題が流れていた。
今日はソメイヨシノが満開らしい。その話を聞いたらいてもたっても入られなく、桜を見ながら客を探そうと決めた。
行く途中、細い手を挙げている赤いドレスを着た女が目に付いた。
私は車の方向キーを左に回してタクシーを止めた。
女が乗り込む。見た感じ、なんだか哀しそうな顔をしていた。
「えっとどこまで。」
「どこか人気のない静かな場所へ行ってちょうだい。」意味深な問いに戸惑った。
「お客さんそういわれましてもね。」
「それじゃ、その辺グルグル回ってくれる。」
「ハイハイ。わかりました。」運転歴は今年で3年ほどになるがこんな注文の仕方をした客は初めてだ。
なんか事情があるなと思った。バックミラーで女の様子を見ると、暗い雰囲気だったが、スタイルが良く、美しい顔つきだった。
この年になって、少しときめいたかもしれない。
「えっとどこに行きましょうか。」もう一度尋ねてみた。
「そうね。この辺りに海あるかしら。」一時考えて女が答えた。私は戸惑った。もしかしたら自殺でもするんじゃないかと思ったからだ。死に場所に連れて行くなんてごめんだ。
「お客さん。勘弁してくださいよ。海で何するんです?」
「別に死にはしないわよ。私死にそうに見えるかしら。普段は明るくて、美人なんだけどね。」と言って微笑んだ。
「美人な人は何をしても美人ですけど、お客さん何かあったんですか?」
「それって私褒められているって事よね。さっき、彼氏と別れてきちゃったのよ。ろくな男じゃなかったわ。働かないし、ギャンブルはするし、こっちから振ってやったわ。」女が強気で言ったが、目には涙をこらえている様に見えた。
「そうなんですか。」私は頷く事しか出来なかった。
海が見えてきて、砂利にタクシーを止めた。真っ暗な海はどこか怖かった。
「えっとつきましたよ。」
「ありがとう。一時泣いたらすぐ家に帰るから心配しないで。」と言って女が一万円札を財布から取り出した。お釣りを返そうとしたら、拒否された。
「話しを聞いてもらったから何かの足しにして。」女が私の手を握って囁いた。
女が車から降りて海の闇の中へと消えて行った。
私は気になり、一時の間車を止めて暗い闇をボンヤリ眺めていた。窓を開けて様子を見ていると、大声で「バカヤロー。」と泣きながら叫んでいる女の声だけが聞こえてきた。
あれだけ吠えれば大丈夫だろうなと思って、車を発進させた。
そういえば桜をまだ見てなかったなと思って、近くの公園の所へ行く事にした。
ライトアップされた桜が見事に満開に咲いている。
恋も桜と同じで、満開の時が一番いい。後は心が散って行くだけかもしれない。
出来ればまた、さっきの人と桜の咲く季節に明るい笑顔で会いたいなと思っていた。
永遠に!!保存版!!!
愛してるよ~~~!!!!!
・・あ、あなたのブログを、ね(#^.^#)
最近疲れて物語も浮かびませんが何とか皆さんに喜んでもらえるようにかいていきたいです。
よろしくお願いします。