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JALなどが導入したエアバスのA350「XWB」の末尾のアルファベットは、実は後付けされたもの。背景にはこれまでのエアバス機や、ライバルのボーイング787を上回るべく開発された、紆余曲折の歴史がありました。
一旦は、白紙となった「A350」
JAL(日本航空)などが導入した、エアバスの最新鋭機「A350 XWB」。この末尾の「XWB」は「eXtra Wide Body(エクストラ ワイド ボディ)」の略ですが、実はこの3文字は、後付けされたものです。
背景には、デビューまでの経緯があります。このシリーズは、過去に「A350」の名で発表されたものの、計画が白紙になった過去を持つのです。これまでのエアバスの中・大型機(A380除く)とも違う外観となのも、このことと関係しています。
当時エアバスは、総2階建ての巨大飛行機「A380」の開発を進めつつ、2002(平成14)年にライバル、ボーイングが開発を始めた200席から300席クラス、2本通路の新機種「7E7」(のちのボーイング787)と競るべく、2005(平成17)年に新機種「A350」を開発すると発表します。
このとき計画されたA350(無印)は、当時の同社主力機種のひとつ、A330シリーズの胴体をベースに、新素材(複合材料)と新エンジンを採用、「7E7」と同規模の客席数を持つ経済性の高い機種のことでした。A350は一時、100機を超える注文を受注します。
一方で、当時「7E7」から名称が変わり、プロジェクトが進行中のボーイング787は、複合材料を大胆に採用し、設計もこれまでのものから抜本的な見直しが行われていました。こうしたライバル機の動向から、これまでのエアバス機の改良バージョンともいえるA350に、一部の航空会社から、仕様を改善するよう要望が上がります。
大幅に見直されたA350「XWB」 進化系「A330」もデビュー
これを受けてエアバスは2006(平成18)年、これまで発表していたA350の計画を取りやめ、新設計機の開発に乗り出します。
機体のサイズはA350よりもひと回り大きくなり、ライバルのボーイング787と同じように新素材を機体の半分以上に採用します。初期型「A300」シリーズから踏襲されてきた真円型の胴体も再設計し、客室を拡張します。
改めて発表されたA350客室の横幅は、最大約5.61m。ボーイング787シリーズの5.49mより広くなりました。これまでのエアバス機より、またライバルであるボーイング787シリーズよりワイドな客室を導入したこの機体は、今までとの違いを強調するためか「A350 XWB」という名称に改め、現在に至ります。
なお、「A350(無印)」で発表されていた、A330シリーズの胴体をベースにした進化系に相当するモデルは2014(平成26)年、A350 XWBの試験飛行が終わったすぐあと「A330neo」として着手されます。これまでのA330から主翼の設計変更や、新素材、新エンジンを採用した機体で、短胴型のA330-800、長胴型の-900ともにA350 XWBとくらべると、ひと回り小型です。
「A330neo」は2019年8月、南太平洋ニューカレドニアの航空会社、エアカランが成田~ヌメア(ニューカレドニア)線に日本で初めて投入しています。
【了】
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