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楽天グループは自社で開発した低コスト通信技術をドイツの新興通信会社に輸出すると4日発表した。「仮想化」と呼ぶ通信機器をクラウド上のソフトウエアに置き換える技術で、これを使う通信網の設計・運用を独社から一括で請け負う。受注総額は2500億円超とみられる。仮想化は通信網の整備・運用コストを4割前後減らせるとされ、世界の通信会社が採用を進めている。普及に弾みがつきそうだ。
子会社の楽天モバイルが携帯通信事業を2020年に始め、新規参入の切り札として、仮想化技術の研究開発に注力してきた。技術は日本国内での自社通信網に活用するほか、海外の通信会社に提供する計画だ。今回、初めて技術を全面的に採用する具体的な提供先が決まった。
独の新興通信会社である1&1との間で、同社が整備する高速通信規格「5G」などの通信網向けに、技術を提供することで合意した。通信網の設計から保守・運用までを受注し、関係者によると、今後10年間で2500億~3000億円の収入を得るとしている。
1&1は現在は他社回線を借り通信を提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)として独国内で1000万件超の契約を持つ。今後、自社回線のサービスを始める予定で、同国内でドイツテレコムなど既存3社に続く「第4の通信会社」となる。自社通信網の構築で楽天の技術を採用する。
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仮想化は、従来の通信網では専用機器が担っていた情報処理をクラウド上のソフトウエアに移行させ、専用機器を減らす技術だ。機器が減り、コストを減らせる。世界の通信会社が採用を進めており、米新興のディッシュ・ネットワークも21年後半から導入し始める予定だ。
楽天の5G技術は、今夏に欧州で開かれたモバイル関連見本市「MWC」で表彰を受けるなど一定の評価を得ている。楽天は輸出先を増やし、技術提供で1兆円超の売り上げを計上する目標だ。
楽天は金融、電子商取引(EC)事業は好調だが、携帯通信事業は通信網の整備に向けた投資や販促の負担で赤字が続く。これが響き、連結業績も20年12月期まで2期連続で最終赤字だ。国内携帯プランは月0~2980円と低料金のため収益を上げにくい。早期の携帯通信事業の黒字化に向けて、技術輸出での収益が必要となっている。