ドコモが「格安スマホ2社と提携」狙いは何なのか?
石野純也・ケータイジャーナリスト
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NTTドコモは、格安スマホ事業者2社と提携して「エコノミーMVNO」という取り組みを始める。
低容量・低料金のプランを広げるのが目的で、提携するのは、NTTコミュニケーションズと、
通信やインターネットプロバイダーなどを手がけるフリービット社の2社。
10月21日から、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」がドコモショップで契約できるようになる。
また12月には、トーンモバイルを展開するフリービット社が新たに「トーンモバイル for docomo」の販売を始める。
トーンモバイルは、子供やシニア向けのサービスが強い。
2社のサービスはドコモショップで契約できるが、利用者は格安スマホ事業者と直接契約を結ぶ形になる。
ドコモの店舗サービスが使える
OCNモバイルONEの料金は、新設する500メガバイト(MB)コースで月550円から。
ドコモが提供する「5Gギガライト」は1ギガバイト(GB)の料金がファミリー割引適用でも月2178円で、大幅に安い。
3GBで比較すると、OCNモバイルONEは990円、ドコモの5Gギガライトは2728円で、1700円ほどの開きがある。
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低容量の料金プランをどう充実させるかはドコモの課題だ。
KDDIはUQ mobile、ソフトバンクはワイモバイルをサブブランドとして展開している。
この2社と異なり、ドコモの低容量はギガライトの一択で料金が割高になっていた。
ドコモの野田浩人営業本部長によると、他社に移る利用者の中で、データ利用量が3GB未満の割合が徐々に高くなっていたという。
3GB未満のドコモ利用者は、他社に比べて満足度が低くなっていたのがその理由だ。
エコノミーMVNOは、ドコモ自身が提供するプランではないが、店舗でのサポートを充実させることで、ドコモに近い位置づけにする。
全店舗でドコモの回線と同じように契約できるのはもちろん、端末の初期設定など各種サポートを受けることもできる。
スマホは、ドコモの利用者用に提供しているものを選べる。
端末の下取りで実質支払額を抑えて機種変更できるアップグレードプログラムにも対応する。
格安スマホ事業者は、端末のラインアップに偏りがあったが、
ドコモが販売することで、アップルのiPhoneや、サムスンのGalaxy、ソニーのXperia、シャープのAQUOSなど
人気のスマホを契約と同時に購入できる。
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また、エコノミーMVNOに加わる格安スマホ事業者は、dポイントのポイントプログラムにも加盟する。
ドコモの回線と同じように、通信料金に対してポイントがつくほか、ためたポイントで料金を払うこともできる。
利用者にとっては、サービス面でドコモとの差が小さくなる。
販路拡大が大きなメリット
単に安いだけでなく、特定の利用者に合ったサービスを提供しやすいのも、格安スマホ事業者と組む理由だ。
12月に販売を始めるトーンモバイルは、子供やシニア世代の利用者に特化した見守りサービスを提供し、かつ月額料金も抑えている。
トーンモバイルの機能は、大手通信事業者より優れているものもあり、ドコモショップで提供できれば、ドコモのサービス強化につながる。
格安スマホ事業者にとっては、販路やサポート拠点を大幅に拡充できるのがメリットだ。
販路はネットや家電量販店などに限定されていることが多く、利用者に届きづらかった。
全国約2300店のドコモショップを活用できれば、こうした課題を解決できる。
一方で懸念は、ドコモショップで扱うサービスが増え、料金プランが複雑に見えてしまう点だ。
また、大手通信事業者と格安スマホ事業者では、回線混雑時の速度など通信品質の差が大きい。
こうした点は、利用者側も理解しておく必要がありそうだ。