こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

心を見つめる、心を引き出す子育て

2005年02月22日 | 教育
フォーラムが終わりました。
コーディネーターという役柄を、十分に果たすことができたかどうかは、
不問にしておいて、(笑)(私自身が消化不良)
今回のフォーラムのまとめとして、
以下の原稿を掲載しておこう。
これは、本番の締めくくりとして用意していた内容です。

**********************************

教育やしつけ、子育てのベースにあるものを振り返ってみます。
  
まず、教育は、なぜ必要なのか?
・・・社会の中で生きていくために必要になってくる「生きる力」を養うため。そのために、心と体が健康な人を、そのための人格を形成するための手助けをする、ご縁をつくってあげる。こんなことかな?
 だから、
社会の中で生きていくための力を身につけること。・・・これが自立する、大人になる。ということにしましょう。
 そこで具体的には、
1)自分というものが、しっかりと創られていかなくてはならない。自我を確立することですね。
「自尊心」という言葉があるように、自分自身のことを愛することのできる人。自分が可愛くてたまらない、最も自分の命や存在を大切に感じる事のできる人。そんな気持ちを育む。
 この自尊心が育まれない環境の中で、もし絶望感や不安感を抱く事態になれば、次から次ぎに、自分を追い込み、極度の罪悪感や無力感、脅迫観念、被害妄想と・・・、本当の自分というものが消え去ってしまい自我が崩壊していく中で、社会生活や人として生きていくことが困難な事態にまで追い込まれることを、私たちは知らなくてはいけない。

2)次に、自分と他人との関係性ですね。
  自分のことが大切に感じることのできる人は、他人の存在も同じように大事にすることができる。そして、他人とどのように関わっていけば、円滑な関係性が築けるのか?  という育みが必要になります。
 関係性の理想的なあり方は、共感ということかも知れません。教師と生徒、親と子、支援者と支援される人、医者と患者という関係のように、ある種対峙した関係でなく、お互いがお互いの存在や価値観、悩み苦しみ、・・・そういったものを認めることができたとき、共感できたとき、最も理想的な究極とも言える関係性が成り立つと。

3)次が、私を取り込んでやまないこの大自然大宇宙との関わりを育むご縁づくり。ここから、環境の大切さや、目に見えない大いなる命と自分との関係性が芽生えてくる。畏敬の念や感謝、謙虚さ、宗教性の育みですね。伝統文化や、科学や理屈で覆われた世の中の価値観を、少し角度を変えて、小さな私の存在と、その小さな私の中に大きな無限の広がりがあることの意識。
 ここにきて、現状の自分自身のあり方を素直に受け入れる姿勢を養うことになるのかも知れません。そのことで、より高次のステップアップが可能になる。

4)そして、最終的に、この社会の中の私、という見方を育んでいく。国際社会や自分の住むコミュニティー、家族や親戚ご近所、というの中で、私という存在はどうあるべきかを学ぶわけですね。アルバイトをしたり、ボランティア活動に精を注いだり、体験学習をしたり、実際会社に入って切磋琢磨する中で、悲喜こもごもの中でいろんな関係性を学んでいく。家庭のしつけや、学校教育において、ハングリーさやありがたさ、厳しさや忍耐を伝える必要性を思います。厳しさや耐性は、悲壮感や絶望感を伝えるものではありません。生きる楽しさや豊かさ、希望や夢を持たせる育みです。
 そんな中で、自分の特性や人生の居場所、役割、存在意義、
を確認できるようになっていくんじゃないかな。
 
 以上の4っつの段階が、具体的な子育てや教育の基本的なベースとして、私たちの共通の理解として心にとどめておきたい内容です。

 実際的には、この理念的なものにもと付きながら、各教科の中で、学校生活の端々で、家庭教育や、コミュニティーのなかで、全ての子どもたちに注がれていかなければならない。

 今、この会場で、生きるために必要な力を育むことを阻害してしまっている原因や、様々な問題意識、赤裸々な実状、さらには具体的な方策を聞くことができました。

 子どもたちとの関わり方を、少しでもよりよい環境にしていきたいと強く願う心が、何かを生み出していくに違いありません。今日、ここで聞かせていただいた宝石のように光り輝く言葉や、心からのご協力を下さいました皆様へ、
厚く感謝の心をささげさせていただきまして、
以上、終焉とさせていただきます。 ありがとうございました。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする