昨年12月29日に見た夢の内容の続きです…
これまでの内容はこちら…[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11]
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緊急カプセルはゆっくりと浮上を始めました。減圧症予防のために、浮上速度が遅くなるように作られているようです。
薄暗い非常灯の中で猿人が話し始めました。
「俺はこの通り声がほとんどでない。声を出すのが辛い。それに時間もない。だから簡潔に話す。
俺は、あんたと同じようにここに連れてこられた日本人だ。奴らはここで俺たちの体を改造して強い兵隊を作る実験をしている。
俺がここに来てからも何百人もの日本人が実験材料にされて死んだ。たとえ死ななかったとしても俺たちのように異形の姿にされ正気を失い廃人になってしまった。
自分たちの命はとうに諦めた。しかし、次々に送られてくる同胞が犠牲者となるのを見るに耐えなかった。強い気力を持ち続けられたわずかな仲間で、脱出の計画を練り、その機会を待ち続けた。外部の人間にこの惨状を伝え、やめさせるために。
あらゆる手を尽くした。抜け道を作り、情報を集めた。あんたにもしたように、連れてこられた人間に合図を送ったが、誰も聞く耳を持っていなかった。言葉が通じたのはあんただけだった。
あの後、龍人の実験が成功したという情報をつかんだ。同時に、猿人の実験は廃止され、俺たちが殺されるということもわかった。決行の時は今しかなかった。
最大の問題は、首尾良く海上へ脱出したとしてもそこは絶海の孤島ということだ。海を渡るには海軍の船を奪わなくてはならない。それはほとんど不可能だ。しかし、あんたのその翼なら海を渡れるかもしれん。もう残された道はそれしかない。
あんたは賢い。言葉が通じたのもそうだが、あの道具を本に挟んだやり方は良かった。奴らは本だけを取り上げ、俺たちには道具が残った。あの道具も役に立った。
その賢いあんたなら言葉が通じなくとも、外部の人間と意思の疎通を図ることが出来るはずだ。何としてもここの惨状を伝えなくちゃならない」
次回につづく…
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緊急カプセルはゆっくりと浮上を始めました。減圧症予防のために、浮上速度が遅くなるように作られているようです。
薄暗い非常灯の中で猿人が話し始めました。
「俺はこの通り声がほとんどでない。声を出すのが辛い。それに時間もない。だから簡潔に話す。
俺は、あんたと同じようにここに連れてこられた日本人だ。奴らはここで俺たちの体を改造して強い兵隊を作る実験をしている。
俺がここに来てからも何百人もの日本人が実験材料にされて死んだ。たとえ死ななかったとしても俺たちのように異形の姿にされ正気を失い廃人になってしまった。
自分たちの命はとうに諦めた。しかし、次々に送られてくる同胞が犠牲者となるのを見るに耐えなかった。強い気力を持ち続けられたわずかな仲間で、脱出の計画を練り、その機会を待ち続けた。外部の人間にこの惨状を伝え、やめさせるために。
あらゆる手を尽くした。抜け道を作り、情報を集めた。あんたにもしたように、連れてこられた人間に合図を送ったが、誰も聞く耳を持っていなかった。言葉が通じたのはあんただけだった。
あの後、龍人の実験が成功したという情報をつかんだ。同時に、猿人の実験は廃止され、俺たちが殺されるということもわかった。決行の時は今しかなかった。
最大の問題は、首尾良く海上へ脱出したとしてもそこは絶海の孤島ということだ。海を渡るには海軍の船を奪わなくてはならない。それはほとんど不可能だ。しかし、あんたのその翼なら海を渡れるかもしれん。もう残された道はそれしかない。
あんたは賢い。言葉が通じたのもそうだが、あの道具を本に挟んだやり方は良かった。奴らは本だけを取り上げ、俺たちには道具が残った。あの道具も役に立った。
その賢いあんたなら言葉が通じなくとも、外部の人間と意思の疎通を図ることが出来るはずだ。何としてもここの惨状を伝えなくちゃならない」