
#514「太平洋ひとりぼっち(9)」のつづき…

(飛行機が水面に滑り降りる…)

米兵>ジャップ!

(米兵が飛行機へ発砲…)

米兵>くそっ! 逃げられたか!

(飛行機が洞窟を出たところで、アメリカの護衛艦とはち合わせ!)
米水兵>崖の下から飛行機が飛び出したぞ!

米護衛艦艦長>日本機だ! 撃て!

このは紅葉>発動機の回転を上げて、操縦桿をゆっくりと…

艦長>飛び上がる前に撃沈しろ!

米士官>待って下さい! 攻撃をやめさせて下さい!
艦長>何だと? こんな手頃な獲物を見逃がせと言うのか!?
士官>あの水上機は航続力がないタイプです。我々が把握している日本軍基地までは飛べません。
艦長>それがどうした?
士官>つまり、未確認の日本軍基地が近くにあるか、あるいは日本の艦隊が近くまで来ているのかも知れません。偵察機に追跡させてはどうでしょうか?
艦長>なるほど、それは良い考えだ! さっそく艦隊司令部に上申しろ!

このは紅葉>浮いた!

このは紅葉>このまままっすぐ飛べば、日本に帰れるのね…。

米搭乗兵A>あれが俺達のカモちゃんか!
米搭乗兵B>カモというよりヒヨコだな。ふらついている。素人の操縦だ。

このは紅葉>寒い…空はとても寒いよ…お母さん…

米搭乗兵B>情報によれば、あの日本機はあまり遠くまで飛べないらしいが…

米搭乗兵A>…もう、かなり長いこと飛んでるな…
米搭乗兵B>そろそろ、帰りの燃料の心配をしなければならないぞ…

米搭乗兵A>ヒヨコが降下を始めた…この辺りに基地があるのか?
雲の中に入ってゆく…
米搭乗兵B>よし、下の様子を確認したら帰ろう!

米搭乗兵A>雲の下に出るぞ…

米搭乗兵A>真下に日本艦隊!
米搭乗兵B>なんてこった!

日本艦隊>敵機発見! 対空戦!
(激しい対空砲火…米偵察機はたちまち火だるまに)
日本艦隊>敵機撃墜!

木村分隊長>あの複葉機は、このは紅葉だ!
プロペラが止まっている…燃料が尽きているんだ!
しかし、こんな遠くにまで飛んで来るとは…

分隊長>大丈夫か? 不時着出来るか!?
よし、うまい! その調子だ!
良いぞ! 上出来だ!

分隊長>艦長! あの友軍機には、ベロベロ島守備隊の最後の一人が乗っています! 救助に向かわせて下さい!

分隊長>キサマら、もっと気合いを入れて漕がんかぁ!!

分隊長>お~い! このは! 大丈夫か!
どうした? 動けないのか!? 今すぐに行くからしっかりしろ!!

分隊長>このは紅葉! 良くやったな!

分隊長>冷たい!
このは…おまえ…胸に銃弾を受けて…剣も突かれたのか!?
そうか…ぎりぎりまで逃げ出さずに最後まで戦ったんだな…
…この冷たさは死んでからかなり経っているはずだが、どうやってここまで…

分隊長>…操縦桿をしっかり握って、死んでも放さなかったのか…
意地でも日本に帰りたかったんだな…

分隊長>このは…おまえの骨は必ずに日本に届ける!
絶対に日本に帰してやるぞ!!
終





米水兵>崖の下から飛行機が飛び出したぞ!




艦長>何だと? こんな手頃な獲物を見逃がせと言うのか!?
士官>あの水上機は航続力がないタイプです。我々が把握している日本軍基地までは飛べません。
艦長>それがどうした?
士官>つまり、未確認の日本軍基地が近くにあるか、あるいは日本の艦隊が近くまで来ているのかも知れません。偵察機に追跡させてはどうでしょうか?
艦長>なるほど、それは良い考えだ! さっそく艦隊司令部に上申しろ!



米搭乗兵B>カモというよりヒヨコだな。ふらついている。素人の操縦だ。



米搭乗兵B>そろそろ、帰りの燃料の心配をしなければならないぞ…

雲の中に入ってゆく…
米搭乗兵B>よし、下の様子を確認したら帰ろう!


米搭乗兵B>なんてこった!

(激しい対空砲火…米偵察機はたちまち火だるまに)
日本艦隊>敵機撃墜!

プロペラが止まっている…燃料が尽きているんだ!
しかし、こんな遠くにまで飛んで来るとは…

よし、うまい! その調子だ!
良いぞ! 上出来だ!



どうした? 動けないのか!? 今すぐに行くからしっかりしろ!!


このは…おまえ…胸に銃弾を受けて…剣も突かれたのか!?
そうか…ぎりぎりまで逃げ出さずに最後まで戦ったんだな…
…この冷たさは死んでからかなり経っているはずだが、どうやってここまで…

意地でも日本に帰りたかったんだな…

絶対に日本に帰してやるぞ!!
このは紅葉さんが生きて日本に帰れますようにと
思っていました。
悲しい結末・・・
お話だとわかっていても、目の奥がジーンとしてしまいます。
思ったことを、こんなふうに絵に表現できるこのは紅葉さんは
すごい人だと思いました。
ラフな感じに描かれていますが、登場人物が生きていますね。
とっても頑張ったね。
段々顔つきがたくましくなってきて
今回のこのはさんの顔を見て
「頑張れ!頑張れ!」って応援しました。
最後は悲しい結末になりましたが
最後まで希望をもって頑張った姿に
思わず涙が流れました。
私も今 色々な事で 行き詰ってきていたので
やっぱり私ももう少し頑張らなくちゃって思いました。
このはさんは こんな夢を見たんですか?
もちろん戦争を体験していませんよね。
私よりずっと若いと思っていましたから。
最後まで読み終えて しばらくの間
マウスから手が離れませんでした。
疲れました…
夢で見た事ですので、自分で実際に体験したような感覚が少し残っています。
絵を描くときも、実際にその場にいる感覚で描くことが出来ました。
最後の方は泣きながら描いていました。
夢の内容が忘れられなくて描くことにしました。
もちろん戦争の体験はありませんが、子どもの頃から戦争の話を聞かされたり本を読んだりしておりましたので、大きな影響を受けたことは間違いないようです。
最終回は、何度も読みました。
だんだん絵に迫力も増してきて、緊張感も高まりました。
時代考察がしっかりされているので、読み応えがありました。
本当にお疲れ様でした。
結末は・・とても悲しくて残念です。
外地で戦争の犠牲になった方は、みんな日本に帰りたかったと思います。
二度と繰り返してはいけませんね。
夢に見た内容をほとんどそのまま描いたので、時代考察はしていません。たぶん史実と異なるところもたくさんあろうかと思いますが、あまりそのことは気にしておりません。
この夢のことが心の重荷になっておりましたので、絵に描いたことで少しすっきりしました。
…と言っても、毎晩新たな夢を見続けているので、他にもまだたくさん描かなければならないことがあるようです。
戦争の夢はもう見たくないのですが、それよりも現実の世界で戦争が無くなってほしいです。
実に楽しませていただきました
「棋譜並べ」で出会ったサイト
私の”センス”も間違いではなかった(笑
そう言えば、プリンスさんが初めていらっしゃったのは、囲碁で検索してきたのでしたね。
プリンスさんのおかげで楽しみの幅が広がりました。
これからもよろしくね。