ゆとりですがなにか インターナショナル/水田伸生監督
宮藤官九郎脚本で、テレビドラマの映画化なのだという。確かに映画の演出にしては皆オーバーアクトだし、ノリのようなものも、テレビ経由かもしれない。もちろんオリジナルは未見である。
ゆとり世代も中年に差し掛かって、おっとりしていたから成り立っていた若い時代も終わりをとげて苦悩している。というざっくりとした設定があるようだ。一人は造り酒屋の跡取りで営業部長であるが、ネット配信で販路をさぐっているが家庭の邪魔が入ったりして上手く行っていない。韓国系居酒屋に酒を卸しているのだが(これが大口の取引先なのである)、韓国系のマッコリを開発するか、時流に合わせてノンアルコールの清酒を作らなければ今後は取引をしないと言われて、杜氏たちと改めて奮闘することになる。もう一人は、いまだに女性経験が無いままの教師で、いわゆるこじらせているままに、女性経験をどうするのか、時には暴力的にもなりながらいまだに拗らせ続けている。二枚目なのでモテないわけはないが、つまるところ相手にされるような男ではない。もう一人は、中国へ渡り活路を見出そうとするが失敗して日本に帰って来て、この友人の造り酒屋で働くことになって、実は中国系配信を勝手にやって人気を博すようになり、このドタバタの原因を作ってしまうことになる。
まあ、それなりに複雑に事情が絡んでいるわけだが、そういうドタバタ自体を楽しむコメディなのだろう。言葉の上では過激に性的な言葉が行き交う「中二病」的なものが多いけれど、実情は極めて家庭的な問題というか、実はこじんまりとまとまった世界観になっている。いちおう韓国やアジアンの事情を絡めたインターナショナルなことになっているだけで、これはこれで日本的な諸事情が元になっているのである。
まあ、お暇ならどうぞ、的な時間つぶしの娯楽作にも感じられるが、時間つぶしは実は人生には最も大切なことかもしれない。ということで、単に僕にはあんまり合わなかっただけのことなので、そう思っただけのことなのであろう。