くまぐー日記

くまさんの電脳室リポート

プロの裏技

2011年10月29日 | Weblog

■警察から物損事故にしないのか?という連絡が入った。どうも加害者の奥さんが「私たちに過失はないのにどうして取調べられるのか?夫は忙しくて時間がとれない。私たちの方が被害者だ」と言ってているし、行政処分は免れないんだし、、、などと言う。警察はよっぽど面倒なんだなあと思った。しかし事故証明が取れなきゃあ自賠責請求できないので傷害保険をかけた意味がない。しかし一度考え直してみることにした。警察に「あまり、こんな例ないですよ、任意保険でなんとかならんのですか」と言われたのが気にかかったからだ。

労災保険が使えれば過失を問わず警察を通すこともないが、通勤途上でもないから使えず、自賠責請求するしかない。人身事故の保険はこれしかないのだ。一般にいう「任意保険」とは対物保険のこと。いわゆる対人保険は自賠責の120万円を超える損害に2次的に適用されるに過ぎない。だから保険屋さんが扱う人身事故はほとんどが国の強制保険である自賠責請求処理だと思えばよい。人身事故にいきなり使える任意保険なんてあるはずないんだが、、。

人身事故を起こせば、過失の有無を問わず、民事、刑事、行政上の責任を負う。民事訴訟にならなくても警察を呼べば刑事処罰、行政処分が科される。行政処分とはいわゆる事故の点数のこと。医者の診断書の治療期間で、加算点数が決まっている。たとえば30日以上だと重傷事故4点、未満だと軽傷2点などといった具合だ。佐藤先生のようによく知っている先生だと「1月」とは書かずに「4週間」と書いてくれるのだが、救急車で搬送された先の救急病院の担当医の診断書(警察にはこちらが必要だ)には「6週間」となっていた。これでは8点加算され、もし加害者の点数と加算されると免停、取り消しなどの問題がでてくる場合は「人身事故にはしないで欲しい」ということも出てくることがある。

その他、刑事処罰では過失がなかろうとたとえば重傷事故なら20~50万円などの罰金がかかる可能性がある。通常不起訴処分で片付けられているというだけだ。現場の実況見分調書とさらに業務上過失傷害罪の取調べ調書も作るとなると警察も大変だ。確かに事故に際して自分で救急車を呼んでおきながら人身事故にしないでくれと当然のようにいわれるのにも違和感があるが、素人的に過失がないと自分で思い込んでいる以上その気持ちも分る。素人的には過失の割合にとらわれがちで過失が多いほうが声が小さくなりがちだが、それは「任意保険」の話で人身事故では被害損害の大きいほうが大きな顔をしないといけない。自賠責はその被害者救済の視点でできているので「ほとんど」無過失責任なのだ。物損処理のまま自賠責請求ができないか?

自賠責は自動車の「運行」によって生じた「他人」の人身事故保障という妙な保険だ。被害者は加害者の保険を使い、自分の保険が使えない。だから、助手席の妻を救うために夫の運転する車の事故で有名な「妻は他人である」という判例がある。妙に納得した気持ちになる。「運行」とはドアの開け閉めも含む。駐車場に駐車している車にぶつかって怪我をしても救われない。事故で常に問題となる後遺症の4000万円保証が特色でもあるし、有利な休業補償も魅力。

健康保険(国保)の第三者行為による傷害届けというものがある。他人から受けた傷害などに健康保険(国保)を使う場合、けんぽ協会が支払いその他人に求償するというもの。これを車の人身事故に使うとき「事故証明入手不能理由書」という書面が使えそうな気がした。加害者が事故の発生を証明するものである。プロの仲間のアドバイスも得て相手方に連絡すると自分はわからないが相手方保険会社もできるようなことを言っていたと言った。よし、これで行こう。行政処分をパスして保険が使える。

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