ようやく読み終えた「風姿花伝」の現代語訳版。
その風(伝統)を得て、心より心に伝えていく花として、「風姿花伝」書名の由来らしい。
民衆芸能申楽を、美と幽玄を主とする能へと、
昇華させた室町時代の世阿弥は、
稀代な能芸者らしい。
「風姿花伝」をはじめとする
二十一冊にも及ぶ能役者の心得を綴った彼は、
きっとものすごく繊細なお方。
七歳の初稽古から、年齢に応じた稽古の心得を綴った「年来稽古條々」の章では、人間の生きざまを綴られた気がする。
無邪気と見る子どもの初花
若さゆえの一時の花
そして...まことの花
「風姿花伝」では、「花」をキーワードに。世阿弥生涯の著作では、この「花」の探究と解明のためになされたという。
ここまで考えたことのなかった、多岐な意味がもつ「花」という言葉の奥義。
もの珍しさの花
花を、咲かす
花を、知る
…
色々なことが、「花」という粋の言葉に繋がる。
今は、花(華)のある茶席を想像してみた。
と同時に、能という伝統芸を、観てみたくなった。