茶語花香

人生は旅なり。
中国茶をはじめ、花のある暮らし、読書、旅などを中心に、日常の出来事を綴ります。

無痕

2014-10-22 16:25:28 | 茶器

飮杯の底に映る

無痕(wu2 hen2)

の文字が、心に響きます。

台湾茶人李曙韻氏が、
2012年北京国家大劇院で開かれた茶会も、
たしか「無痕茶会」というような名でした。
目の前の飲杯は、そのイベントのために作られた飲杯かな。

痕とは、痕跡(こんせき)のことです。

魚過水無痕
鳥飛天無痕


の歌にあるように、

魚が通り過ぎても、
水に跡が残らず
鳥が通り過ぎても、
空に跡が残らず


人間は、水中の魚や空中の鳥のようにはいきません。
人間のおかれる環境は、もっと複雑で、出来事があるたび、心が揺れ、時には動きだす時も免れないのでしょう。

宋の時代の大詩人、蘇軾が歌ったように、

事如春夢了(liao3)無痕
(物事を春の夢のごとく、傷跡残さず終わらせるように)

当時、挫折を味わった蘇軾は、自分へのたしなめとして、残した歌。

このように、多くの詩人、文人は、
「無痕」というものを、目指すべき最高な心境にしていたことが伺えます。
心に響く言葉でした。


こちらの飲杯の、表の顔も、美しい。

そこにある文字は、春秋時代の五音音階っぽく見えます♪
読めませんけれど、なんだか悠久な感じがしていいですね。

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