舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

フラの振付パクリ問題を考える

2015-05-18 02:39:28 | ダンス話&スタジオM
皆様こんばんは。
ヤドクガエル登場の巻でございます。


ということで見出し画像は裏部屋の象徴的なマークですが、本日の記事は裏部屋ではございません。
なぜならば出来るだけ多くの方にお読み頂きたいからです。
まあ、書いてるうちに表には出せないほど過激な論調になって来たらウラに引っ越しますわね(笑)。


え~、先日の当ブログの記事でご存知の方もいらっしゃいますように、今日は地元でイベントが開催されました。
ステージイベントにはウチだけでなく、県内のさまざまなフラの団体様がご出演なさっておられました。
というか、ステージ出演団体の優に半分以上はフラの団体だったのじゃないかしらん。

この地域でそれだけ多くのフラ団体様が出演なさいますと、毎度おなじみの「あの」由々しき現象が発生致します。
そうです。私達は見た事も聞いた事も無い相手なのに、紛う事なきウチの振付で踊る謎のフラダンス愛好家の方々です。

今年もねえ、目撃してしまいましたよ。
かなり変わり果てた姿になってはいるけれどどっからどう見ても明らかにウチの振付を、全っ然知らない方々が思いっきり踊っていらっしゃるお姿を。
いやはや、何回いえ何十回見てもあの堂々としたパクられっぷりには毎回顎が外れますなぁ(笑)。

今日見たのは言わば青竹珊瑚系の、「ハワイアンソングではあるんだけどハワイよりむしろ日本で好んで踊られる曲」でして、したがってイリマフラスタジオのレパートリーではなく、母マミちゃんが振付した物です。
要するに100%完全にわがスタジオMのオリジナルです。
で、これは非常に重要なお知らせですが、ウチは決してどこかで教える方向けに振付を切り売りしたりは致しません
つまりウチの生徒さん以外は振付を知らないのよね。っていうか、知らない「はず」なのよね。


あんまり驚いたんで、マミちゃん(※振付者本人)がその曲を踊っていらした方に伺いました。
「その曲は私が振り付けた物なんですけれども、どちらの先生に習われたのですか?」と。

するとその方。
「この曲は一般的に踊られている物だから、そんな事は無いですよ」とおっしゃったのです。



( ゜д゜)゜д゜)ポカーン



我々がこういう顔になったのは言うまでもありません(汗)。


………う~んと、振付した本人がそうだと言ってるのに否定されてしまうと、一体どこから話をはじめたら良いものか非常に苦しみましたが、それでもめげずにマミちゃん(※振付者本人)が根気づよく説明したところ、有難い事に彼女はどうにか「今自分の踊っていた振付は目の前の人物が作った物であった事」を理解してくださったようです。

よ…よかった。意思の疎通が出来て本当に良かった。
こんなに意思の疎通が出来た事に安堵したのは、昔ハワイのバスで隣り合ったものすごくアクセントの強い地域のオーストラリアの方との会話が成立したとき以来だった気がします。
いやほんと、お互いの話す英語に物凄い隔たりがあるのにその方がまたとんでもなくお話好きで……って壮絶に関係ない話はさておき。

マミちゃん(※振付者本人)によってもたらされた情報がよほど衝撃的だったとみえ、その方は随分と驚いておられるご様子でした。

いやいや、我々からしたら彼女の反応の方が衝撃ですよ。
振付が存在するならそれを振り付けた人間も必ず存在する。
卵があるならそれを産んだ鶏が必ず存在するのと同じくらい当然の事です。

まさか振付がどこからか自然に沸いて出て「一般的に踊られている」ようになる訳がありません。


なぜこのような事が起きてしまったのか…。
いうまでもなく一番悪いのは彼女達に教えた「センセイ」です。

他人の著作物を無断でパクる事、これはまずそれ自体がものすごく問題です。
ダンスの振付も一種の著作物です。
それを作者に無断で拡散する事が許されるワケがありません。


ただ、振付は音楽のように特定の団体が管理している物ではない為、その扱い方は振付者本人に委ねられます。

たとえば、世の中には最初から「自分の教えた相手がさらにその生徒に教えること」を前提とした上でワークショップなどで振付を販売したり、教則本や映像商品で売ったりする先生もいらっしゃいます。
中にはメリモで使った振付まで気前良く売るクムもいらっしゃいますね。
それは別にその先生の判断なので全く問題ありません。

しかしながら、ウチはそういう商売はやっておりません。
なぜならば、たんに振付を教えるだけでなく、それを正しい方法で踊る事も必ず一緒に教える責任があると思っているからです。
ウチの振付を踊る方には、我々が責任を持って踊り方まできちんとお教えしたい、お教えせねばならない、という考えが我々にはあります。
それゆえに、前述のとおり「振付の切り売りはしない」という方針でここまで来たのです。

あとその中間?というか第三のパターンとして、「契約中は自分の振付を使って良し」というのもハワイのクムと日本の先生の間にしばしば見られる形態です。
つまり、クムAに師事しているうちはクムAの振付や衣装デザインを使っても良いけれど、関係が終了したらもう使っては駄目、というもの。
これも理にかなっていますね。シノギを納めなきゃ駄目とかそういう意味ではなく(まあそういう意味で言ってる人も居るでしょうけどw)、自分の手を離れて目も行き届かなくなったら、どんな風に自分の意図したものと乖離していってしまうか分りませんから。
それこそ「責任を持つ」事が出来なくなってしまうので、およそ責任感のある作り手ならば、これを嫌がって当然です(どこかで訴訟問題になっていましたね)。


そういうわけで、いかなる場合においても、「作者の意に反して・無断で振付を剽窃するのは罪」であると断言出来ます。
ですから、無断で盗んだ振付を平気で人に教えてしまう自称センセイというのは、プロとして以前に人間としてものすごく問題です。とてもじゃないですが人に物を教えられるような立場ではありません。



ここまではフラだとかハワイだとかは関係なく一般常識の話です。
で、ここからは「フラであるが故に」問題となる事の話になります。



フラは「根っこ」を物凄く重視する踊りです。
つまり、その踊りがどこの誰から受け継がれたものか、そしてその人に教えたのは誰なのか、そういったことが非常に重要なんですね。
それによってそのダンサーの、そのお教室のアイデンティティとも言えるスタイルが確立されるのですから。
なぜそういうステップなのか、なぜそういう手の使い方になるのか、そういう細かい事のひとつひとつに「根っこ」が影響を及ぼします。
「根っこ」を持たないフラは無価値、というよりそれ以前にフラでさえないと私は考えています。

たとえば母マミちゃんの出身校であるイリマフラスタジオはスタジオMの「根っこ」であり、それはウチの踊り方の随所に生きています。
重心は高め、姿勢は真っ直ぐ、歩幅は大きすぎず、ヒップのスウェイやハンドモーションはしなやかに、しかし上半身は静かに……などと言葉では表しきれない微細な部分に至るまで、「根っこ」は深く影響を及ぼしている物なのです。


しかし、その「根っこ」から引き剥がして、ただ記号的に振付だけを拾って踊ったらどうなるか。
例えばウチの振付を、本来のスタイルとはほど遠い、基礎が全くなっていない状態で踊ったとしたら。
ハッキリ言います。そんな代物はゴミ以下です。
フラの魂ともいえる「根っこ」を奪われた状態で動いているという点では、ゾンビと言った方が相応しいかもしれません。


ウチの振付を平気でパクるような自称センセイの場合、おそらく他のレパートリーもすべてどこかから剽窃した物でしょう。
どれほど沢山盗んだところで、剽窃だけできちんとしたものが築けるワケがありません。
つまり、根っこがどこにも存在しない状態なのです。
それは根本的な意味でフラではない。
そのセンセイ自身はもちろん、その人に教えられて(しまって)いる生徒さん達も皆、ただただゾンビのように魂を持たないフラもどきの動作を繰り返しているだけなのです。
どれほど自分達の踊りに自信を持っていようが、それはそもそもフラではありません。


あなたがどこかでフラを習っている場合、自分がゾンビになっていないか(あるいはゾンビから習っていないか)確認する方法は簡単です。
今すぐあなたの先生に「根っこ」がどこにあるか問うのです。
そこで具体的なクム(もちろんハワイのですよ)の名を挙げずに曖昧な言い方で誤魔化す人や、逆にゾロゾロと光源氏の恋愛遍歴かってくらい大勢のクムの名を出すような人は大問題です。
前者は剽窃に剽窃を重ねた上で先生になったガチもんのゾンビであるおそれ大ですし、後者もきちんと系統だった教えを受けずに、ワークショップからの仕入れだけで誤魔化し誤魔化しここまで来た先生であろう事が予想され、それもやっぱりゾンビです(笑)。


まあ、自信を持って「私のクムは誰々です!」とおっしゃる先生方の中にも地雷はイロイロあるんですが(爆)、そちらの見分け方はもっと複雑(というかある程度自分が見る目を養わないと難しい)ので、そちらの識別方法はまたの機会に譲ります。


とりあえず、根っこの無いフラ(もどき)を踊る事は、ゾンビに喩えられてもしょうがないくらいブキミだし第一恥ずかしいという事が伝われば幸いです。





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