仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

綺麗な顔4

2012年03月06日 16時52分01秒 | Weblog
ボトムの笹川の話は単純に言うと「会社が作りたい。」というものだった。
高井戸からの供給について異論ないが、近郊の農家と契約を結び、無農薬野菜を作ってもらう。
それを販売したい。
野菜という商品は鮮度が非常に重要な要素であるから、産地は近いほうが良い。
会員制にしてその販路をひろげたい。
会員から一定の会費を取り、定期的に野菜を届ける。
その会員が新しい会員を紹介したら、会費を値引きする。
詳細は、独りの新会員の紹介につき、会費の五パーセントを値引きする。
二十人の新会員を紹介すると本人の会費が無料になるというものだった。
それ以上の会員を紹介した場合は一人につき会費の五パーセント分の報奨金、いや、野菜が増量される。

笹川はうれしそうに説明した。
さらに、笹川は続けた。

栽培方法についてはミサキさんのマニュアルを買い取りたい。

「ミサキのノートは誰のものでもないだろ。買い取るって何だよ。」
マサルは話を聞いているうちに胸が苦しくなるような感覚にとらわれた。
「いやー。ですから、できるかどうかはわからないんですがその独特な生産方法自体を特許として申請できないかと。」
「トッキョー。」
マサルはテーブルを叩いた。
「何いったんだよ。もういい。いいか、ミサキのノートは誰のものでもないからな。」
笹川をにらんでいた。
「それ以外のことは勝手にしろよ。」
「えっ、よいのですか。」
「オイ、お前の言っていることは・・・・・。」
マサルは言いよどんだ。
売り言葉に買い言葉のような会話で認めてよいのか。
「待て、ヒデオたちに相談する。」
「あっ、そうですよね。それをお願いしたかったんですよ。グリーンベース全体で取り組んでも面白いと思いますよ。」
「そういうことじゃない。」
マサルは、また、テーブルを叩き、立ち上がった。
「いいか、ヒデオたちの返事があるまで動くなよ。」