仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

指紋の感性

2012年03月28日 11時53分02秒 | Weblog
「こんばんわー」
「マサル、ジローさんにトコちゃん。」
「あっ、知ってますよ。この前のライブのあとも来てたでしょ。」
「あっ、そうか。」
「もう、準備できているじゃないですか。」
「さて、はじめますか。」
「マサル、これマサルのね。」
「ありがたい。空腹状態にはたまりません。」

「ところで、誰。」
「誰って。」
「今日連れてきた人よ。」
「わかんない。」
「わからないって。」
「拾っちゃたんですよ。市川に行く前に。」
「拾ったあ。」
「大丈夫なの。」
「まあ、寝てるし、問題ないでしょ。」
「君たちはもう。あっ、それポン。」

「ところで、どうなの。儲かってんの。」
「儲かるって。」
「仕事よ。仕事。」
「仕事って。」
「変でしょ。」
「変だね。」
「宅配やってんじゃン。」
「はい。」
「収益は上がっているかって聞いているんですよ。それ、チー。」

「マサルは、月、いくらもらってんの。」
「いくらって、決まってないです。」
「売上とかどうなってんのよ。」
「一様、集金は月末一括で、それはアキコ、アキコさんの口座に入れちゃいます。」
「手持ちは、どうすんの。」
「活動費は、なくなったら、諏訪から来るときに持ってきてくれますよ。ロンです。」
「えー、もう、あがったの。しかも、ダマテンで。」

「会社にすればいいのに。」
「またですか。」
「またって。」
「前もね、昔の仲間に言われたんですよ。会社にしないかって。それで今日、市川の奴 も言ってた。」
「よーし、今度こそ、リーチ。そんで。」
「そんで、市川の奴の言うことがなんか、むかついて。」

綺麗な顔8

2012年03月28日 10時55分38秒 | Weblog
マサルは着替えを持って一階に降りた。
スグリさんの家は二階を賃貸用にしていたが風呂はなかった。
一階を改造する際に住居部で唯一、風呂だけが手付かずで残された。
銭湯も歩いて五分ほどのところにあったが、スグリさんが使用を許した。
と言っても、マサルが使うことで清潔感が保たれたのだが。

マサルはシャワーをざっと浴びて部屋に戻った。
ベッドに横たわる男の顔は綺麗だった。
その中央のティー字部分、目も位置、鼻のスジ、口もと、以前に見たことがあるような気がした。
スグリさんの声がした。
「マサルーまだあ」
マサルはチェアーの上に洗濯物を投げ、部屋を出た。