仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

再会と言えるのか

2012年05月18日 15時01分48秒 | Weblog
人ごみの中に消えていった。

押し寄せる野次馬。
タクシーの下になった女の顔。
野次馬の肩が肩にぶつかった。
よろけて倒れた。
足の間を這うようにして、歩道の隅で振り返った。
体格の良い正義感に満ち溢れているような男が、運転手を引きづり出した。
客は後部座席から降りてこれなかった。
パトカーと救急車の音が遠くから聞こえてきた。
足が勝手に動いた。

ヒトゴミ
ヒトゴミ
ヒトゴミ

すり抜けるようにして、その場所から逃げた。
誰もその女と自分の関係を指摘しなった。

いつの間にか走っていた。

繰り返される夢。

脳裏を離れない女の顔。

意識が無意識に勝って目が覚めそうになっても、引きずり込まれるように夢の中に戻される繰り返し。

音、キシミ、振動、声。

もうどうでもいいことなのに。

死者の行列が目の前を行進していく。

彼らが自分を見ている。

恨みと怒りが目の中から飛び出してくる。

細い糸になって身体を縛り付ける。

「俺が殺したのか。」

言葉が、口から飛び出す。

その声に驚いて、覚醒する。

細い糸が脳に絡み付き、また、夢の中に引きずり込まれる。

もうどうでもいいことなのに。

汗のにおい。

身体の中の不純物が汗と混ざり合い、恐怖と悲しみが汗と混ざり合い、鼻をつく。

目が覚めても、工事用の大きな鉄板が身体を押さえつけているように重く、頭しか動かない。

重さが、また、夢の中に引っ張り込む。