仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

ここに戻れば

2012年07月23日 11時51分56秒 | Weblog
ここへ戻れば。

「誰もがそう呼べる場所にしたいの。」

茅野の駅まで迎えに来たミサキが言った。
ミサキは名古屋で免許を取った。
ヒカルはあの事故のせいか、模擬試験は満点を取るのだが、本試験で三回失敗して免許を取るのをあきらめた。
まあ、どちらか一人が運転できればよかった。
軽のワンボックスタイプ、山道は悲鳴をあげた。
スピードもでなかった。
ミサキには気にならないようだった。

「仁も大きくなったねえ。ていうか、私たちが歳をとったのかな。」
「そうかなあ。」
「いつだっけ、最後にあったの。」
「マサルのパーティーの時かな。」
「ヒロム、アキコからメールがきたとき嬉しかった。」
「ウアマク、ハナセナウ、ケロ、フサギラッタ。」
「うまく話せないけど、不思議だったって。」
「何が。」
「ミナグ、ホクワ、ウケユラテクレラコラギ。」
「みんなが僕を受け入れてくれたことがだって。」
「すごいのね。仁はヒロムの言うことが全部わかるの。」
「うん。」
「でも、私も不思議だった。仁が力を使えば、ヒロムはすぐに回復すると思ったわ。」
「仁はもう力を使わないよ。」
「なぜ。」
「あの時、すごく使って、それから、元に戻るまで大変だった。」
「そう。」

「ヒカルも、仁とヒロムが来るのを楽しみにしてるわ。仁は恩人だもの。」
「そうなんだよ。僕もね。記憶の断片しかないんだよ。自分が何をしたか。」
「そうなの。」
「うん。」

「これからどうするの。」
「ヒデオの会社で働くか。それもあって、一度、「ベース」に来たかったんだ。」