仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

nihility and isolation and forfeiture  (虚無と孤独と喪失と)Vol.28

2016年04月07日 17時15分01秒 | Weblog
4月3日

桜の木の下で。

人より良い場所をとるために、朝、暗いうちから場所取りに行っていた。

公園の管理室の明かりが、消える前から。

入口の鎖を跨いで、作業服の下にブルーシートを巻きつけて。

夜が朝に変わる前から。

闇が、紫に、そして、白に。

白が、青に、群青色に空が染まる。

その瞬間が好きだった。

眠気と闘いながら、見上げた空。

青が、瞳から身体の中に染み、身体は飛翔し、空気の分子の間を駆け上がる。

はるか彼方に天空の城砦があり、魂はそこを目指す。

やがて帰依すべき場所、魂の起源を感じながら。

時が経てば、太陽の光に反射する空気の群れに、その瞳は犯される。

時が経てば、敷き詰めたブルーシートの上で桜の木にもたれ掛かりながら、意識は現実を見る。

魂など信じきれないままに。