記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

文化の秋、アンティーク絵葉書を解読する愉しみ

2007年10月12日 15時50分22秒 | 昭和の観光学
 7日は久しぶりの絵葉書研究会を天神のジャズ喫茶JABを借り切っ
て開催した。私が参加し始めて6年、会はもう20年以上続いている。
最近は筥崎宮の大骨董市の開催日に合わせて、北部九州各地から集まっ
てくる。肩書きも年齢も関係のない、好きなことで交流し情報や新しい
モノの発見が続く絵葉書会は、日々のストレスから開放されるひととき
でもある。

 東京や関西の会と比べると盛況さは無いが、その分1枚の絵葉書を皆
で卓を囲んで見入り、内容が判る人が詳細な解説をする。各人の知識の
深さに驚くことも度々である。また、何より興味深いのは各人の生き方
や人生そのものが垣間見られること。こだわりには理由があり、絵葉書
の収集分野もそれぞれ違う。昨今の乾いたビジネス視点だけで人づきあ
いしていると失いそうな、本来の人間関係がそこにある。

 昔は鉄道や切手などは趣味の王様であり、趣味の会はどこも盛況だっ
た。今は趣味自体が多様化し、メンバーはどこも大幅減少傾向だという。
そんな中、日本絵葉書会は会報が今号からカラーとなった。単なる趣味
の会から脱皮し、日本の誇る絵葉書文化をきちんと伝えたいという気概
だと認識している。

 印刷技術、広告、観光、文化…、絵葉書は永くそれらの最先端アイテ
ムであった。明治・大正期の工芸的なアート絵葉書の数々は、最新の印
刷技術を駆使しPRする目的であった。企業や商店は効果の高い絵葉書
を数多く創り、今もダイレクトメールや通販へと進化している。

 観光地や旅館、鉄道会社などが発行する絵葉書は観光宣伝が目的。最
新の観光スポットや町並み、交通機関などが絵葉書に登場し時代を写す
鏡の役割を担っていた。鉄道開通や観光地の開設記念の絵葉書も多い。

そして文化面、竹久夢二はじめ大正・昭和期に飛躍した画家の多くは、
絵葉書作家から出発している。身近に作品を発表できる場だったのだ。
雑誌が進化する過程で、これら人気作家の絵葉書が付録に付き、販売競
争を煽るほどのブームも何回か来た訳である。

 この日、地元の葬儀社から博多の絵葉書などを使った講演の依頼をい
ただいた。会員様へのサービスの一環だそうだ。博多部の移り変わり、
市内電車があった頃の沿線風景を画像を見ながら小話的に解説しようと
思っている。

今日の写真は、昭和34年頃の天神・渡辺通り界隈(絵葉書)。
大牟田線の高架工事前で、駅左にはスポーツセンターも見える。

アンティーク絵葉書に観る懐かしの風景・町並み
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鳥瞰図絵師・前田虹映
オールド地図鳥瞰図コレクション・吉田初三郎ほか

 

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