博多座の石川さゆり特別公演「はかた恋人形」を観ました。ギンギラ太陽'sの舞台でひよこ侍などを演じていた事もある役者・林雄大君が出演しているということで、伝説の博多人形師・小島与一がモチーフという事や、作・演出が大好きなG2という事も重なり、私にとって必見の舞台でした。
全編ネイティブな博多弁、登場人物も実在の人物を想像させる炭坑王とその妻、実際の与一工房の弟子たちの名も登場し、この時代の知識があればあるほど「ニヤリ!」とする仕掛けや台詞も満載で楽しめます。例えば「花子とアン」ファンであれば、炭坑王の妻の「ごきげんよう」という台詞、モデルである白蓮の福岡・博多での実際の交友相手も実名で語られ、気づいた人がニヤりとする台詞も満載で、結果的に舞台に奥行きが出ています。
題材となっている博多人形師・小島与一がモデルとなった火野葦平原作の映画といえば、1954(昭和29)年の大映「馬賊芸者」です。上の写真は博多・東中洲で実際に行われた「馬賊芸者」のワンシーン(手持ちのスチール写真)。現在は清流公園となり夕方になると屋台街となる一帯です。
葦平さんは小島与一氏をモデルに数本の作品(短編・長編・ラジオドラマ脚本他)を遺し、そのうちの1本が今回の博多座公演(G2脚本・演出)の脚本の下敷きになっている気がします。もちろん今回の舞台はオリジナル・ストーリー、石川さゆりさんをはじめとする役者さん達の熱演についつい引き込まれました。石川さんの唄う博多の歌の数々も素晴らしい。群像モノから時代モノまで幅広い舞台作品のあるG2ならではの艶のあるエンディング、最高でした。
東中洲・南新地などオール博多ロケの作品「馬賊芸者」のDVD化を熱望してますが、今のところ発売予定は無さそう。というわけで、手持ちのスチール写真から数枚でした。