記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

夏の風物詩を楽み、昭和レトロと駄菓子屋さんの話しに想う

2007年08月05日 15時55分15秒 | 博多部
 8月1日、福博の町は大濠花火大会の話題で持ちきりとなった。我が家
では花火大会へ行くか、それとも映画館へ行くかで家族会議(笑)をした
が、全員一致で映画の日を楽しむこととなった。花火大会は毎年のように
混雑覚悟で出掛け、帰る時には「疲れた」を連発していた。以前は知人の
マンション屋上で一緒に見させてもらうこともあったが、次々に高層マン
ションが建ちついに見えなくなった(笑)。

 「シュレック3」をキャナルシティの映画館に観に行ったが、花火の日
と重なり「映画の日」だというのに夜はガラガラだった。というより私た
ち家族の他にはカップルだけという、ほぼ貸し切り状態であった。

 2日は台風が接近する中、小倉のリバーウォーク4F・朝日さんさん広
場で14時から豊後高田・駄菓子の夢資料館の小宮館長の無料講演が開催
された。あいにくの天候でキャンセルも相次いだが「昭和レトロと駄菓子
屋の夢」と題された小宮氏の講演は最高だった。小宮氏が懐かしい資料を
集めるきっかけとなった話、今となっては貴重な資料の数々を譲ってもら
った際の逸話、そして福岡・西新に「懐かし屋」を開いた頃から現在へ至
るまでの苦労話しなどを交え、きっかり1時間で講演をまとめた話術と才
能に感服した。

 個人的に一番興味を持ったのは、駄菓子屋に通ってくる子ども達の今昔。
お金を握りしめて走って通ってくる姿は共通だと言われたが、その中身は
田舎であっても持参する金額のケタが違い、また買い方も「まとめ買い」
までするという。グループで来る子ども達の顔ぶれは少しずつ変わるが、
その理由が「お金を持っている子」と一緒に来ると聞き、自分の子ども時
代との差にショックを受けた。

 まとめ買いやお金をたくさん持ってくるのがショックではない。それを
許す親に驚くのである。共働き世代が増え、子どもに構う、しつけをする
時間の放棄と引き替えにお金を渡す。食玩ブーム等でまとめ買いする親を
見慣れている子ども達は、親と同じことをする。当然そこに罪悪感や経済
観念は存在しない。

 今の子ども達の親の多くは団塊の世代を親に持つ。いわゆる団塊ジュニ
アの世代である。一人っ子、かぎっ子と呼ばれた世代がそのまま子どもを
育て、人間関係の維持やコミュニケーションの大切さを認識しないまま、
大人になった。最近のニュースや新聞で学校に無理難題を言う親が多い事
が問題となっているが、しつけを受けず甘やかされて育った世代である。
飽食・モノ余りの時代しか知らない世代だから、こうなるのは当然かもし
れない。

 私は小学2年の頃、地元の駄菓子屋を舞台にちょっとした事件をやらか
した。といっても前出のような現在ならさして親も問題にしないのかもし
れないが、転校生だった私は早く友達を作りたい一心で親からもらった小
遣いで友達に駄菓子や玩具を買ってあげ、相手の親が不信に思ったことか
らバレて私を含む5名が親たち、学校からこっぴどく叱られた。

 親は私のした行為を恥じ、関係のお宅へ一軒ずつ謝りに行き、学級には
人物全集などの本を寄贈し謝罪した。そこまでした理由は、最初は小遣い
の範囲で友達におごっていたものが、お金が足りなくなり母親の財布に手
を出してお金を作ろうとしたこと。すぐにバレたおかげで「悪いこと」の
認識を持つことができたが、人間は馴れるともっと大きな悪いことをする
ものだ。最初は罪悪感を持っていても、それも次第にマヒしてしまう。

 子ども時代は特にこの感覚の進み具合が早い。親が気付かねば、もっと
最悪の事態へと進むことも十分に考えられる。しかし、前出の駄菓子屋に
通ってくるグループの親たちは、たぶんこの事実を知らないか、知ってい
ても重要視していないのだろう。お金が無くなった友達を「あいつは死ん
だ」と平気で言うそうだ。

 悪いものに蓋をする風潮は悪いとは思わないが、それよりも善悪をきち
んと理解する、善悪の理由を伝えることの方が大切だと思う。昔は忙しい
親の代わりに地域全体が一緒になって子育てをしている感覚があった。近
所つき合いの中で、○○さんの子どもという認識があり、親同士が互いに
他人の子どもであっても善悪を踏まえてきちんと叱っていた。

 今、同じことをすると叱られた子どもの親が怒鳴り込んできそうだ。善
悪をまだ理解しきっていない子どもは、罪悪感なしに平気で嘘もつく。子
どもを信じることも大切だが、本当の状況を把握する努力や公平を前提に
した対処をすることがもっと大切だと思う。「知らぬは親ばかり」という
現状は私たち子を持つ親が思っている以上に多いように思う。

今日の写真は、昭和32年頃の那珂川・東中洲の風景。この頃、まだ福博
では花火大会といえば「那珂川花火大会」で、川岸から打ち上げていた。
のち城山ホテルとなる「日活ホテル」や左端にはマリリン・モンローも
泊まった「国際ホテル」も見える。映画全盛時代の東中洲川縁の光景である。

アンティーク絵葉書に観る懐かしの風景・町並み
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鳥瞰図絵師・前田虹映

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