3月21日で開業60年をむかえる西鉄グループの筑豊電気鉄道。今週17日より60周年記念のヘッドマークを掲出した5001号が運行開始。この日は朝から天気も最高だったので、翌日の仕事予定を入れ替えて急遽撮影に行きました。
筑豊電気鉄道の公式リリース(ちくてつ電車は開業60周年を迎えます)
開業時の写真を使ったヘッドマーク、けっこう好きです。ちくてつを利用されている人なら、2枚目の拡大写真でもうひとつの「違和感」に気づく方もいるかと。
そう、12日のダイヤ改正で初めてワンマン運転が始まりました(平日の日中のみ、これまでは車掌常駐)。先週まで車体に表示の無かった「ワンマン」が目立ちます。
筑豊電鉄は本来、八幡を起点に筑豊炭田の中心都市・直方を経由して福岡市に至る延長 57.4kmの高速鉄道として建設が始まったもの。西鉄北九州線との分岐点であった貞方~筑豊中間間が最初に開業し、段階的に延長、昭和34年に木屋瀬~筑豊直方間(3.3km)が開通しています。昭和30年代末以降、石炭から石油へのエネルギー転換による筑豊炭田の衰退の影響を受け、福岡までの路線延長は断念された歴史もあります。
筑豊電鉄の八幡~福岡の高速鉄道構想、実は「渡辺通り」に名を遺す渡辺與八郎が最初の構想を立ち上げています。
西鉄の前身会社である九州電気軌道(のち西鉄北九州線)の地元発起人代表である與八郎が、筑豊の炭鉱主(伊藤伝右衛門ら)の支持を得て実行に移そうとしたものが起点。與八郎の急死(九州電気軌道や博多電気軌道開業の明治44年に逝去)により実現の可能性が萎みますが、九軌が九州水力電気(麻生太吉、村上巧児ら)の傘下に入って以降も幾度か筑豊経由の福岡線を申請し、戦後ようやく日の目をみたのが筑豊電鉄でした。
もし福岡まで全通していたら、と想像するだけでロマンを感じることができる路線。できれば終点・筑豊直方駅(遠賀川橋梁を渡った高架線は延伸を前提に唐突に寸断状態)から先へと進む鉄路を見てみたい…。こういうのって、現実世界では無理ですがゲームなど仮想現実の世界でも楽しんでみたい気がします。シムシティの日本鉄道未成線版みたいなの、誰か作ってくれないでしょうか(笑)。