記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

年の瀬に考えること

2009年12月29日 23時17分13秒 | 福博まちの記憶
 この時期、新聞もニュースも「この一年をふりかえる」モノばかり。この
一年、自分にとって出版不況のニュースは常に気になる内容だった。一年間
に休刊・廃刊が決まった雑誌の一覧を見て、かつて自分が購読していた雑誌
もいくつかあり少なからずショックである。

 学研の「科学」「学習」だけでなく、小学館「小学五年生」「小学六年生」 
も12月号で休刊。振り返ると、年初の「編集会議」や「広告批評」など自分
が若い頃に全盛を誇った業界紙も次々と休刊していて、それらで勉強し影響
を受けてきた者にとっては「ひとつの時代が終わった」感がする。
休刊・廃刊が決まった雑誌

 ブログをはじめとするネット表現が進化し、首相まで来年はTwitterでつ
ぶやくことを公言する時代。その一方で周囲を見ると、昔のガリ版刷りの「
ミニコミ紙」的なノリのフリーペーパーや情報誌も増殖している。これらは
バブル期に確立された広告収入に頼る雑誌発行手法を踏襲していない、いわ
ば手弁当的ノンスポンサー雑誌である。

 経済評論家は「不況」を連呼するが、業界によっては不況というより過当
競争の末の首の締め付け合いの場合も少なくない。印刷業界などはその最た
るものだし、出版界も似たり寄ったり。趣味趣向が細分化され、デパート的
総合月刊誌と即効性の週刊誌に絞られていた顧客が、自分の趣味分野へ散ら
ばっていった結果、中途半端なターゲット誌が淘汰されたのだと思う。

 持論だが、今の不況は構造不況という前に、必要ないものに飛びつかなく
なっただけ。ほしいものが少なくなり、というか商品も細分化・分散化し、
生産効率が合わなくなったのではないだろうか。本来は生産数によって単価
が決まる(製造原価に流通コスト・販売コストが上乗せ)ものが、デフレ時
代の今は売価から逆算して生産ライン・入荷ラインを確保する。

 安い品を大量に販売し、売価を決める大手に力が集中し、下請けの中小業
者や農産物生産者がその影響を最初に受けてきたが、輸出大国である日本の
円高が進行したことで、輸出に利益を頼ってきた大手も以前ほどの収益をあ
げられなくなってきた。そのツケが巡り巡っていよいよ大手にも波及してき
ただけである。商品の価値以上に売価を下げると、長期的にみれば行き詰ま
るのは当たり前だと思う。

 昔はモノが無く、売りたいモノ、売りたい人よりも、買いたい人の方が断
然多かった。その時代は価格競争も適度で、生産に携わった全ての人に利益
が分配できていた。しかし、デフレが進行し「安いこと」が一番と言われる
時代に、安さを追求し続けると製品の質・内容を下げるほか対応策が無くな
る訳で(外注費抑制や人員削除、製造コスト削減も度を超えると同じこと)
それは結果的にサービスの質の低下に直結し、支持を失う。

 たぶんこれは産業界や商業界に限らず、社会全般に言えることで、政界も
同様だし、教育界などが抱える悩みも最終的には人材に行き着く。私のいる
位置もデザイン業界、メディア業界の中では常にその矢面にさらされてきた
立場である。自分の強みや限られた能力を把握し、何をすべきかを真剣に考
え対応する時期に来ていることを痛感する。

 時々、知恵熱というか小難しいことを考えるが、煮詰まった時期を過ぎる
と不思議と突破口が見えて来る。独立して10年、何度も危機的状況があった
にも関わらず、その都度助けてくれる方がいたり大きな仕事が入ったり、諦
めずに自分の道を信じてコツコツやってきた積み重ねが開花する寸前に来て
いる気もする。

 何をやる際にも、色々な方に意見を求め、ビジネス優先思考の方が「ダメ」
出ししたものに取り組んできた。一般的に儲からない分野には、当然ながら
同業者は少ないし場合によっては独占状況も作ることができる。今の私がい
る立ち位置はまさにそれ。不良生徒ながらランチェスター経営の勉強を、事
あるごとにさせてもらったことが活かされている(かも)。伊佐さんに感謝!
ランチェスター経営伊佐さん

 ポリシーではないが、独立時からベンチャー的な視線を受けながら、それ
ら企業がすぐに頼った助成金や補助金に一切手を出さなかった。自立するこ
とを目指し「身の丈に合ったことをすれば良い」と考え、実行してきた。気
づけば周囲にはその頃脚光を浴びた地場ベンチャーは一社も無い。あっても
経営再建中とか他企業の傘下に入ったとかである。つくづく「身の丈経営」
が一番だと実感している。

今日の写真は、唐人町・黒門飴の店頭で看板の説明をしてくれる奥様。

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