◆前回に書いたように彼女の作品の評価ではなく、この人についてである。長編『日没』を出された内容は、国がどこかの国のように都合の悪いと思ったことは、口封じをして動いてその傾向になりつつ、現実味が増してきているのではないかと思わされる作品です。で、この作家は、どうして暗く、重い作品ばかり書かれるのかと思っていたのです。彼女はこのように話しています。ここに原点があるようです。「私は、もともと、自分の責任ではない生まれや性別で人が差別されたり弾圧されることがすごく嫌なんです。だから、差別や弾圧の問題には関心がありました。旧ソ連の収容所やナチスのアウシュビッツ収容所、ユダヤ人虐殺などの本などを読んだりしてきました。そんな素地があり、私が一番恐れていること、物を書く人が弾圧されたらどうだろうという話を書きました。日本でも、やがてそういうことが起こるかもしれない。そんな危機感が推進力になりました。」・・・◆作家活動の推進力は、差別、弾圧からの解放を目指した指向でした。・・・
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