フランスの母を亡くした少女とアフリカ人の乳母の交流を描く映画『クレオの夏休み』を見ました。2人の心情だけでなく、登場する人たちの心情を言葉による説明ではなく、映像と展開で見せてくれる名画でした。
クレオはパリで父親と暮らす少女です。母親はガンでなくなり、アフリカから来たグロリアという乳母が面倒を見ています。しかしグロリアの母親が死にアフリカに帰ることになります。クレオは夏休みにアフリカに行き、グロリアに会うことを楽しみに生活するのですが、父親がはぐらかそうとします。なんとかクレオはアフリカに行くのですが、自分の予測とは違う状況に出逢うのです。グロリアには子どもがいて、娘は妊娠しています。息子は自分たちをアフリカに残してパリに行っていたグロリアを母親ではないと言います。そこにはアフリカの現実があったのです。そしてそこで女としてのグロリアの姿も見てしまいます。
余計な説明はないのですが、それぞれの登場人物の心がよくわかります。そしてクレオの父親が何を心配していたのかもわかります。まじめに生きている大人たちも子どもに理解されないこともあります。そんなかすかなすれ違いの中で、子どもは成長していくのだと感じます。
人間の難しさを感じるとともに、その難しさの中で生きて行く人間のいとおしさを感じる映画でした。感動しました。