とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

『劇映画孤独のグルメ』を見ました。

2025-01-18 07:40:41 | 映画
テレビドラマの『孤独のグルメ』の映画化作品、『劇映画孤独のグルメ』を見ました。ドラマの雰囲気が好きだったので、映画版は少し違和感がありましたが、それでもこれは映画ならではの感動がありました。心にしみる作品でした。

テレビドラマの『孤独のドラマ』は井之頭五郎が始めて行く店で食べることがメインに描かれます。それ以外の場面はその食事のシーンとあまり関係がありません。とは言えまったく関係がないわけではなく、俳句の取り合わせのような効果があります。なんとなく感応しさっていて、不思議な滑稽さと、時にはしみじみとした人情味をかんじたりします。「軽み」に近いものなのかもしれません。

それに対して今回の映画は、結構筋立てがはっきりしています。思い出の味の再現と、料理人の再生を描いていて、いつもの『孤独のグルメ』の軽さを求めていたので、最初は「ちょっと違うんじゃないかなあ」と感じてしまいました。しかし、逆にありえないようなストーリー展開とそこにリアルな人間描写が組み合わされて、アンバランスなバランスとでも言うべき綱渡り的ないい加減さが描かれます。遊び心がちりばめられながら、人間ドラマが描写されているのです。

もちろんそれを支えているのは食べることです。日本の文化が一番発達したのは食べることなのかもしれません。

俳諧や、戯作、あるいは水墨画や浮世絵、江戸文化が結晶したような映画です。これこそ日本文化の伝統なのかもしれません。
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ドキュメンタリー映画『小学校~それは小さな社会~』を見ました。

2025-01-16 07:11:12 | 映画
日本の東京の公立小学校に通う1年生と6年生の一年間の学校生活を取材したドキュメンタリー映画『小学校~それは小さな社会~』を見ました。今の小学校の姿がよくわかります。たちの時代と変わっていないこと、大きく変わっていることが伝わってきます。現在の小学校教育の功罪を見ている人それぞれが判断できる映画です。貴重な映画です。

最初に描くのは、4月、入学したばかりの1年生に6年生が手助けします。新しい仲間の世話は最上級生の仕事なのです。協同的な場を作り出そうとする在り方は、最近の学校の進化だと思います。様々な行事をこなしながら、成長していく姿がわかります。

しかし途中で研修会の場面が挿入します。大学の先生が、小学校の先生に語ります。日本の教育は同一性を強要しすぎてしまうということです。個性を奪うし、個性的な子どもは排除されるのです。

おそらく先生たちもそれは十分わかっていると思います。だから毎日悩んでいます。こういうドキュメンタリーを見ると、先生の成り手が減っていくのは当然だよなという思いにもなります。

ドキュメンタリー映画の撮影対象となることを承諾する人もいたのでしょうが、承諾しなかった子供や教師もいたのではないかと思います。果たして承諾しなかった子供達とその保護者はどう思っていたのかも興味深い。

さまざまなことを考えさせられるいい映画でした。
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ドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』を見ました。

2025-01-09 16:00:22 | 映画
統合失調症患者を扱ったドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』を見ました。様々な角度から考えさせられる映画でした。

監督は藤野知明氏。彼の姉が統合失調症であることがわかりますが、医学の研究者である父は、その姉の精神科による。そのことに疑問をもった藤野知明氏が家族の映像を残すことを考えます。姉の症状は次第に悪化していきます。知明氏の意見を両親とも受け入れず、精神科の医療を受けさせようとしません。治療を遠ざけます。とうとう姉は狂ったような言動をやめなくなり、とうとう父親は精神病院に入院させます。いい薬が見つかった姉は精神が安定していきます。しかし、やはりどこかに違和感がのこります。癌にかかり、死を迎えます。

統合失調症は、家族が他人に知られることを嫌い、実際にどういう状態になるのかわからないことが多いのだと思います。このような生なましい現実を見ることは意義のあることであり、監督に感謝したいと思います。

ただし、この映画の公開を姉に承諾を得ているわけではありません。死者のプライバシーの侵害になるのではないかという気もします。

その意味もこめての「どうすればよかったか?」だったのだと思いますが、釈然としない部分が残ります。

監督もいろいろと考えて、悩み、苦しみ、公開を決断したのだと思います。監督の心中をお察しします。


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映画『グランメゾン・パリ』を見ました

2025-01-05 16:58:48 | 映画
映画『グランメゾン・パリ』を見ました。展開は雑でしたが、ラストの料理は見ているだけで満足になりました。料理シーンだけでも映画になると感じました。

大人気テレビドラマの映画化です。ドラマなので大人から子供まで受けるように作られているのはわかるのですが展開が雑すぎます。

木村拓哉演ずる尾花はパリで2つ星シェフです。2つ星シェフは相当すごいです。それなのに3つ星を取らなければならないと必死です。唯我独尊状態になり、みんなが引いていきます。オーナーを含めた重要な客を呼んでのディナーでひどい料理を出してしまって、店の立ち退きを要求されます。

尾花が3つ星をとれないのは、食材の仕入れで差別的な扱いをされているからです。パリではよそ者にいい食材を売ってくれません。だから3つ星になれないのです。このあたりの描き方が雑すぎます。いくらなんでもフランス人を馬鹿にしすぎています。借金取りのヤクザもフランス人を馬鹿にしています。こんな雑な展開はうんざりです。

もう一つ3つ星をとれない理由があります。鈴木京香演ずるスーシェフの倫子さんが、コロナのせいで味覚障害になってしまったのです。それを倫子さんは隠しています。しかし尾花は気付いています。これはありえない。高級レストランのシェフが味覚障害になってそれを隠しているなんてあるはずがないじゃないですか。しかもシェフが気付いていながら気づかないふりをしているなんてありえない。いくらドラマのようにわかりやすい展開を考えたからと言って、ここまで雑で許されるはずがないじゃないですか。

それ以外にもいろいろ雑な面ばかり見えて、いやになってきたところで、展開が逆転し、料理の場面になります。これがいい。本当に素晴らしい料理の数々に驚いてしまいます。もちろん素人なので、その料理がどれだけのものなのかは実際にはわかりません。しかし、工夫や見かけ、そして想像させる味など、映画だからこその見事な料理です。この場面だけでも見て損はしません。

せっかく料理に時間をかけていい場面を作り上げたのですから、前半をもう少し丁寧に作ったら、本当に素晴らしい映画になったと思います。
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シネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』を見ました。

2025-01-04 13:34:03 | 映画
新年最初の映画はシネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』でした。正月にふさわしい泣けるいい芝居、いい映画でした。

片岡仁左衛門と坂東玉三郎の主演で、15年前の歌舞伎をそのまま映像化した映画です。原作は森鴎外。人のいい美濃部伊織と妻るんは評判のおしどり夫婦でした。子どもも生まれ幸せに暮らしていました。伊織は京都の屋敷に一年「単身赴任」することになります。京都で伊織はふとした弾みから同輩を斬ってしまいます。そのせいでるんのもとへ帰れなくなります。帰参が許されたのは37年後。年老いた二人が再会します。

仁左衛門と玉三郎の分かりやすいけれども細かな演技がすばらしい。若い時と年老いた時の演技が、顔つきから体の使い方、そしてしゃべり方まで見事に演じ分けています。しかもそこに嫌味がない。芸を極めた来た二人ならでは演技です。この演技を見ているだけで満ち足りた気持ちになってきます。

時々、見えて来る伊織の後悔と懺悔の気持ち、そしてそれを覆い隠そうとする明るい振舞が涙を誘います。

正月早々いいものを見ました。
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