とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

新山形市民会館のデザイン

2024-06-12 18:35:50 | 高校国語改革
山形市民会館が建てかえられる。現在の市民会館が老朽化しているために建てかえるのだが、そのデザインがものすごい。まるでメルヘンの世界だ。当然のごとくこのデザインには賛否両論である。

話題性があり、シンボルともなるデザインだと肯定的な人もいるが、建築費の高騰が予想され、そこまでする必要があるのかという否定的な人もいる。私も後者である。

山形市の本来の中心街は七日町という、新しい山形市民会館に近い場所であった。しかし七日町は次第に賑わいが消え、特にこのコロナの時期に老舗のデパートも突然廃業し、厳しい状態になっている。起死回生のために人を呼べる施設を考えたのであろう。その気持ちはわからないではない。

しかし、この建築費の高騰の中、これだけの施設を作るということは予算オーバーが当然予測される。奇跡的に予算内に収まったとしたら、どこかに欠陥がでてくるのではないかと心配である。

外部に回廊をつくるというアイディアは、発想としてはおもしろいかもしれないが、現実にはほとんど意味がない。東京のパルコ劇場でそれを作り、劇場の終演にその回廊に誘導されるのだが、天気に左右されるし、体力的にもかなり大変だ。山形市民会館でもほとんど使う人はいないだろう。

しかも目の前が大正時代の建築である旧県庁の「文翔館」という建物があり、二つのシンボル的な建物がまったく不釣り合いである。これは立ち止まったほうがいい。

市民ホールはホールがしっかりとしていること。そしてそのホールを利用する市民が使いやすい設備、例えば練習室とかが整備されていることなど、使い勝手がよければ外観はあまり気にする必要がない。外面のために予算が削られ、内部が疎かにならないようにと要望しておきたい。
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映画『エル・スール』を見ました。

2024-02-25 17:58:31 | 高校国語改革
今年日本で30年以上ぶりに新作が公開された『瞳をとじて』の監督ビクトル・エリセの2作目の監督作品『エル・スール』が、『瞳をとじて』の公開に合わせて映画館で上映されました。仙台の公開が東京に3週間遅れのため、昨日ようやく見ることができました。35年以上前にシネヴィヴァン六本木で見た記憶があります。その時も衝撃だったのですが、今回見て、ほとんど忘れていたことが悔しく思えました。とは言え、いくつかのシーンが強烈に印象に残っており、記憶通りのシーンがよみがえりました。そして、今だからこそわかることに心が引きちぎられるような感覚に襲われました。

この映画の背景にはスペインの内戦があります。左派と右派が戦い、結果右派のファシズム陣営が勝利します。右派のリーダーがフランコです。第二次世界大戦の同盟国側がおもに右派を支持します。女エストレーリャの父親アグスティンは左派を支援していて、右派を支持していた父親と仲違いをしてしまい、北に移住します。父親はかつての恋人とも離れ離れになり、秘密を抱えながら生きることになります。娘のエストレーリャはある時、偶然父の秘密に気付いてしまいます。そして大きくなってそれを父親に暴露してしまいます。

人生には避けて通れない困難があります。それに伴う苦悩があります。上手くいかないのが人生です。そしてうまく行かなかったことが重くのしかかる場合もあります。誰も助けてくれないような困難だってあるのです。父親の苦悩と家族のせつなさがひしひしと伝わってきます。

こんなにすごい人生ドラマがたんたんと描かれていくのです。たかだか90分あまりの映画なのに中身が濃く、神経を研ぎ澄ましてみる必要がある映画です。映画らしい映画と言っていいと思います。久しぶりに見て興奮してしまいました。

エリセ監督の『ミツバチのささやき』もすばらしい映画でした。今回上映される『瞳をとじて』も楽しみです。
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映画『青いカフタンの仕立て屋』を見ました。

2023-09-19 19:05:46 | 高校国語改革
モロッコを舞台にした映画『青いカフタンの仕立て屋』を見ました。泣けました。

ドレスの仕立て屋を営む夫婦の物語です。夫は真面目な仕立て屋で、妻はその夫を誇りに思って支えています。しかし妻は病気に侵され余命わずかとなってしまいます。実は夫は同性愛者であり、若い店員に恋をします。しかし妻への愛が消えたわけではありません。妻と店員への愛で心が揺れ動きます。妻は自分の死期を悟りながらも夫を愛し続けます。この三人の関係が静かに描写されます。

次第にやせ衰えていく妻の姿は見るのが苦しい。そしてその妻に献身的に尽くす夫の姿も涙を誘います。夫婦は「愛」の中で最後の数日を生きるのです。涙なくしてみることはできませんでした。

店員も二人に尽くします。そして夫婦のどちらもいたわるのです。

とてもいい映画でした。

ただし、最近の映画はなぜほとんど同性愛を描くのでしょうか。もちろん多様性は大切です。愛にいろいろな形があるのは理解できますし、今それを描くのは映画の役割かもしれません。しかし同性愛がなければ映画にならないというほどになってしまっているように感じられます。近年の映画を見ていると地球上の半分は同性愛者だと感じるてしまいます。ちょっと行き過ぎなのではないでしょうか。この行き過ぎは反動を巻き起こす危険があるように感じられます。そこは考えなければいけないことのように思います。
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2023年春ドラマ

2023-07-08 07:00:07 | 高校国語改革
今年の春ドラマで最後まで見たのは日曜日の『ラストマン』と『日曜の夜ぐらいは…』の2作品だけだった。

最初から見なかったものもあったし、途中でやめてしまったものもあった。「あまちゃん」の再放送も始まり、時間的に厳しくなったということもあるが、好みのドラマが少なかった。

『ラストマン』はやはりおもしろかった。ただし最終回はかなり無理のある展開であった。説明的なドラマとなってしまった。

『日曜の夜ぐらいは・・・』は岡田惠和さんの脚本だった。やはり脚本がいい。毎日がつらい3人の女性が偶然友達になり、自分の人生を変えていくストーリーである。3人が偶然出会う最初のエピソードがとてもよかった。その後宝くじに当たってしまったところからちょっと心配してしまった。これからいろいろ面倒くさい話になってしまうのではないかと思ったのだ。しかし逆にどんどんうまくいく。最後はちょっと宗教染みてきたかとも感じてしまうほどになったが、とても後味のいいドラマになった。

夏ドラマも楽しみなドラマがたくさんあります。期待しています。

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映画『波紋』を見ました。

2023-06-19 18:02:37 | 高校国語改革
荻上直子監督の新作『波紋』を見ました。現代の人間社会を突き放した目で見つめる映画でした。人間の愚かさと同時にいとおしさが描かれています。いい作品です。

今現在、私たちは東日本大震災のことなど本当はほとんど忘れてしまっています。忘れるのは人間だからしょうがないのですが、あの時の影響は見えない形でもいまだに人間社会にはっきりと残っています。この映画も原発事故によって心が壊れてしまった人たちのストーリーです。

人生の壁にぶち当たると、だれもが傷つき、だれもが他人を恨み、だれもが誰かにすがりたくなります。東日本大震災とか、新型コロナウイルスとか、あるいはかつて日本が行った戦争とか、バブル経済の崩壊もそうです、大きな出来事は見えないところで今も人々を狂わせていきます。そこで狂った人間を憎むのは当然かもしれませんが、しかしその裏にある社会の原因を見つめなければいけません。そうしなければ恨みの連鎖はとどまらないからです。むずかしいことですが、それができなければ大きな悲劇が待っています。

出演するのが、
筒井真理子
光石研
磯村勇斗
安藤玉恵
江口のりこ
平岩紙
津田絵理奈
花王おさむ
柄本明
木野花
キムラ緑子
ムロツヨシ
このメンバーだけ見てもすごい。

前回『怪物』について厳しい意見を書きましたが、この『波紋』のほうが「怪物」を見事に描いています。
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