映画『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』を見た。生々しい戦争の真実と、その中で自己を犠牲にしてまで、味方をたすけようとした真の英雄の姿が描かれており、そしてその英雄の名誉を戦えようとする戦友の姿が丁寧に描かれている。感動的な名作である。
監督 トッドロビンソン
出演者 セバスチャン・スタン
クリストファー・プラマー
ウィリアム・ハート
エド・ハリス
サミュエル・L・ジャクソン
ピーターフォンダ
(あらすじ)
ベトナム戦争で空軍衛生兵ピッツェンバーガーは戦場で負傷した兵士を救い出すべく、ヘリコプターから地上に降りた。彼の奮戦のお陰で生還できた兵士がいたが、ピッツェンバーガーは敵軍の銃弾に倒れてしまった。1998年、ピッツェンバーガーの両親と友人たちは彼に名誉勲章を授与して欲しいと国防総省に請願した。その請願を精査することになったハフマンが退役軍人たちの証言を集め始めたところ、予想もしなかった事実を知ることになる。ピッツェンバーガーに長らく名誉勲章が授与されなかったことの背後には、とある陰謀が隠されていたのである。ハフマンはその陰謀と闘い、ピッツェンバーガーの名誉を回復する。
この映画の良さの一つは戦争の悲惨さが伝わってくると言うことである。人を殺すことの痛みが伝わり、それが心の後遺症となる状況がよくわかる。生き残った兵士たちは、その後の人生が苦しみに満ちている。戦場はバーチャルな世界ではないのだと言うことが伝わり、理念で戦争を語ってはいけないということが分かる。
もう一つの良さは、人間としての「尊厳」の大切さである。ピッツェンバーガーは自分の命を落としてまで見方を守ろうとした。兵士の「尊厳」である。そしてハフマンの行動もまた、自分の地位を犠牲にしてまでもピッツェンバーガーの名誉を守ろうとした。これも「尊厳」である。
映画としては焦点が定まっていないという批判もあるようだが、メッセージは明確であり、それがストレートに伝わってくる。多少演出にあざといと感じられるところもあるが、内容的に考えればバランスを崩しているわけではない。容認の範囲内であろう。
ラストの勲章授与式は感動の押し売りのようにも思えるが、逆にそれが気持ちいい。