とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

年収の壁

2024-11-30 05:25:19 | 社会
 103万の壁が大きな話題となり、年収の壁が問題になっている。そもそも何が問題なのかがわからないまま議論が進んでいるために、迷走しそうな雲行きである。とは言え、これまで問題のありかがわからないままであったのがいけないので、きちんと議論してよりよい税制になる必要がある。今回の問題提起を好機とするように国会、そしてメディアの方たちには期待したい。

 そもそもの問題は税制がどうしてこれだけ複雑になったのかである。まずはこれをできるだけシンプルにしていく必要があろう。おそらく古くからの法律があり、つぎはぎだらけになっているから、何がなんだかわからなくなっているのだ。国民みんなが理解できるように問題点を整理してほしい。

 次の問題点としては、税収がいったいいくら必要で、どういう内訳になっているか、国民がきちんと知る事であろう。知識がなさすぎては表面的な議論で終わってしまう。目先の利益だけに惑わされてしまう。財務省のホームページを見ると、次のように出ている。
・税金には、課税主体が国である「国税」と、地方公共団体である「地方税」があります。
・国税には、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税などがあり、地方税には、住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税などがあります。

 そしてその割合もグラフで示されている。そしてこのような税収を得るために、不平等感がないような方法はどうあるべきかを根本的に考える必要がある。103万の壁がなくなっても、あらたな壁ができるのならば、なんの意味もない。また103万の壁がなくなって、高額所得者が得をするようでもなんの意味もない。

 学校教育の予算が少ないのは、地方の財源が少ないからである。地方は財源がつねにとぼしくて苦労している。人口がすくないからがまんしろと言われているようにも感じられる。その状態で税収が減るようなことがあれば、破綻してしまう。

 見える議論をして、少しでも納得感が高まり、されに働き控えなどがおこらないようにしていただきたい。今回の国会は議論が活発になりそうなので期待している。
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エコーチェンバー

2024-11-27 17:09:56 | 社会
 前回「集団極性化」について述べたが、似たような現象に「エコーチェンバー」がある。

 エコーチェンバーとは、録音スタジオなど狭い場所でエコーを利かせると、それが増幅していくような現象を言う。ネット社会も開かれた環境であればそれが起きないはずなのであるが、誰もが経験するように、ネットは閉じた世界になりやすい。

 ネット記事も、その人の興味のあるものだけが提示されるようになり、興味がない、あるいは意見の違うような記事は表示されなくなる。すると知らず知らずに極端な意見に収斂されていく。右翼的な意見と、左翼的な意見などに分断されていくのはそのためである。

 ネットが出て来たときに期待したのは、さまざまな意見を発信、受信、討論されていくのがネットだと思っていたはずである。マスメディアの一方的な発信に嫌気がさせいていた人たちがネットに救いを求めた。

 しかし、いざ自分が発信する立場に立って見ると、批判されるのはいやである。だから批判されないような場所に身を置き、批判が届かないような場所で活動しはじめる。そしてそれがネットという場所でのマナーとなってしまうのである。

 本当にはたしてこれでいいのだろうか。危険な状況になってきているような気がしてならない。
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集団極性化

2024-11-25 18:44:23 | 社会
 最近の選挙において、意外な人物や党が急激に票を伸ばすということが起きている。都知事選の石丸候補や、衆議院選の国民民主党、兵庫県知事選の斎藤候補などである。これはいいとか悪いとかいう問題ではなくて、インターネットによって見られやすい現象だということで、かなり前から言われている。「集団極性化」と言うのだそうだ。

 ネット上では、同じ関心を持つ人たちがSNSを通してて情報を容易に共有し、ネット上のコミュニティができ、それが短期間に大きく広がるという現象が起きやすい。そしてそれができてしまうと、しばしば極端で先鋭的な方向に急速に流れるようになるというのだ。近年の右傾化、左傾化の両極化による分断もその流れの一つであり、それが明確に表れているのが、アメリカである。日本における近年の選挙にも、その影響は明確に表れてきている。

 ネットによって、多くの人が自分の意見を表明でき、民主性が高まると当初は考えられていたのであるが、実は極端な意見の収斂されていくのだとすれば、ネットはかなりの危険性を持つものであることになる。取り返しのつかない方向に暴走する可能性もあるのだ。

 この状況をきちんと見続け、分析し、対応を考えて行く必要がある。ただ単にマスメディアとSNSという矮小化した議論に終始していてはいけない。
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映画『ある一生』を見ました。

2024-11-23 13:20:39 | 映画
オーストリアのアルプスで生きるある男の人生を描く映画『ある一生』を見ました。人生の意義を考えさせられるいい映画でした。

孤児が、とある農場主に預けられる。農場主はその孤児を奴隷のように扱う。大人になると、その孤児は農場主に逆らい、自分の力で生き始める。男は真面目に働き、結婚する。しかし、その幸せは雪崩によって壊される。妻は子どもを身ごもったまま死んでしまうのだ。男はその後の人生で亡くなった妻に手紙を書き続ける。年老いた男は、自分の人生を振り返る。そして人生はほんの狭間の時間にすぎないと悟る。しかしその狭間の時間こそが貴重なものであることを観客は知るのである。

自分も年を取ってきて、確実に余生の方が短くなってきている。死を意識し始める年代である。しかしこれまでの人生が長かったのかと言われると、本当にあっと言うまでしかなかった。毎日毎日辛くてたまらない時もあったが、振り返ればそれは一瞬である。生まれてから死ぬまでは、「狭間」でしかない。その狭間は大したものではないかもしれない。しかしその狭間はいとおしい。

最後の最後まで自分の人生を豊かにするように生きていきたい。そんな気持ちにさせる映画だった。
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映画『本日公休』を見ました。

2024-11-20 22:31:19 | 映画
台湾映画『本日公休』を見ました。少なくとも私の今年のベスト5には入ります。感動しました。

台中にある昔ながらの理髪店。店主アールイは40年にわたってこの店に立ち続けています。かつては夫と一緒に働いていた理髪店ですが、夫は亡くなり、今は一人で経営しています。仕事が丁寧で、常連を大切にし、間が空いた客には電話で来るようにいいます。彼女が育て上げた3人の子どもたちは既に独立しています。娘の夫は近所の自動車修理店で働いています。その男がアールイのことを気にかけてくれ、様々に手伝ってくれます。しかし娘との関係は壊れかけています。他の子どもたちもそれぞれ問題を抱えながらも、母親のことはそれなりに心配しています。この家族の関係が丁寧に描かれています。丁寧に描写されるので、とてもリアリティがあり、映画に引き込まれて行きます。

ある日、離れた町から通い続けてくれる歯医者の常連客の“先生”が病に倒れたことを知ります。アールイは、店を休みにして、車で先生のもとへ向かいます。しかしその先生はもう意識のない状態でした。その先生の髪を切る場面は泣けてきます。単なる床屋とその客というつながりではありながら、そのつながりが人生の中で重要なつながりの一つであることが描かれるのです。人生をつなぐ糸が感動を呼びます。

結局、娘とその夫は別れます。男はアールイに髪を切ってもらいながら、男は別の女と結婚することを告げます。もうもとのようにはいかない。しかし、このふたりの糸は切れることがないでしょう。じんわりと心にしみて来る場面です。

まじめに自分の生き方を貫くアーレイの姿に、様々な思いが駆け巡ります。すばらしい映画でした。
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