朝ドラ『ちむどんどん』に関しては、私もかつて批判的な文章をここに書いた。確かに脚本が雑すぎる。だからみんなが一言言いたくなる気持ちはよくわかる。しかし最近のネットの反応を見ているとそこまで言わなくてもいいんじゃないかと思われる単なる悪口のような意見が多くなってきた。これでは「いじめ」と同じだ。共通の攻撃対象を見つけると、みんなで何を言ってもいいという雰囲気ができてしまうのだ。さすがにそれはひどい。
繰り返しになるが『ちむどんどん』は脚本が雑すぎる。しかし役者の演技はとてもいい。みんながよく頑張っている。
仲間由紀恵さん、大森南朋さんはとてもいい両親を演じていた。
原田美枝子さん、片岡鶴太郎さん、高嶋政伸さん、鈴木保奈美さん、山中崇さん、長野里美さんなどのベテランもしっかりとわきを支えている。特に原田美枝子さんと片岡鶴太郎さんは存在感がある。
黒島結菜さん、竜星涼さん、川口春奈さん、上白石萌歌さん、飯豊まりえさんなどの若手もしっかりとした演技をしている。
その他の役者さんも、ベテランも若手もバランスよくとてもいい演技をしている。脚本のせいでドタバタに感じるところも、役者さんの演技でそれなりにうまくまとめているのだ。
しかも脚本についても、暗くならないのがいい。暗くなってしまうと途中で見るのがいやになってしまうのだが、『ちむどんどん』に関してはそれがない。あれこれ文句を言いながら、それでも結構楽しんでいるのである。
ネット記事で脚本をチーム制にしたという記事があった。どこまで真実なのかわからないが、それ自体はいいことだと思う。こんなに長丁場で注目の高いドラマをひとりの脚本家に全て責任を負わせるのは負担が大きすぎる。これからは日本もチームで脚本を仕上げる必要がある。ただし、その方法がまだ確立していないのではないか。みんなが遠慮して結局中途半端な脚本になってしまったのではないかと推測する。
作品を批判するのはいい。批判がなく何でもほめる最近の風潮もどうかと思う。しかしそれが単なる罵詈雑言になるのは絶対にやめるべきだ。批判をする際はきちんと根拠をしめして、改善点を見いだせるようにしなければなるまい。そうでなければ単なる「いじめ」でしかない。「いじめ」に対しては正義感を振りかざすくせに、ネットによる誹謗中傷には何も言わないのはおかしい。
自戒をこめて申し上げる。